これは4文字目でいきたい。「どっどど」で確定。押せる
古川 そういえば、さっき見せていただいた、しみけんさんの問題集、ちゃんと問題文にスラッシュ入れてありましたね。
しみけん 早押しされた部分にスラッシュを入れて、誰が答えたかをメモしておく。
古川 答えが確定するポイントを見極めるトレーニングですね。ああ、これとかいい押ししてますね。「『どっどど どどうど どどうど どどう』という書き出しである、宮沢賢治の……」
しみけん 『風の又三郎』の問題。それ、何文字目で押してますか?
古川 「どっどど どどう」ですね。これは4文字目でいきたい。書き出しを言うってことは、作品名を問うはずですから「どっどど」で確定。押せる。
しみけん 過去の問題集見てると、ほとんど全部、最初の5文字でスラッシュ入ってるんです。それを答えてるのが、古川さん。あの頃の古川さん、狂ってましたよね。
古川 自分でもすごく強いな、と思った時期が5年くらいありました。
しみけん ほんっとに、勝てないんですよ、誰もが。
古川 全盛期ですね。ただ、あの頃は勝てば勝つほど楽しさが減っていくというか。優勝しても周りの空気が「ああ、またか」みたいになって、自分でも何のためにやっているのか分からなくなりかけました。
しみけん 強すぎたからこその、孤独感ね。
古川 まさに孤独でしたね。今は今で、自分の弱さを感じて少し寂しくなります。全盛期の僕には絶対勝てないから。
しみけん いや、古川さんはもう、強い弱い関係ないんです。王、長嶋、古川みたいなもので。
クイズをコミュニケーションに使うアウトプットの仕方
古川 今はクイズ王というよりも、クイズの面白さを広めることに喜びを持っています。2014年に「クイズ作家」としてクイズを趣味から仕事に切り替えたことは、自分にとってよかったな、と思っています。
しみけん そこに僕、共感するんですよ。クイズって知識だけを競い、最初の5文字だけで押すっていうアスリート的な「競技」の部分があることは事実だし、それはそれで面白い。でも暗記したことを「インドのなんとか王朝のなんとかが」ってそのまま話しても何も面白くないんです。そうじゃなくて、クイズで場が盛り上がることも含めた面白さを古川さんは伝えようと仕事している。
古川 ありがとうございます。しみけんさんがさっき、覚えたこと、新しい知識を人に話すことで自分のものにしていくって仰っていましたが、クイズをコミュニケーションに使うことで、人となりのようなものも出てくると思うんです。さっき対談前に、プロテインの話をしてくれましたよね。ああいう、しみけんさんの知識のアウトプットの仕方がまさにそうだと思います。健康情報に詳しくない人間も置き去りにしないような話し方というか。
しみけん ほんとですか。そう言ってもらえるとうれしい。でも古川さんだって、この場にあるものでクイズを作って場を盛り上げられちゃうでしょう。
古川 では、問題。ここにウーロン茶がありますが、昭和のある時期まで日本人にとってウーロン茶はポピュラーではなかったんですよ。ある人が「美容にいいので飲んでいるんです」と発言したことで、爆発的に広がった。さて、誰の影響で広がったのでしょうか?
しみけん こういうの、こういうの! 誰? こういう問題大好き!