1ページ目から読む
4/4ページ目
ゴゴチェリ選手は調べに「何も言い訳はありません」
事件を担当したのは、ホテルを管轄する東京空港警察署ではなく、本部の組織犯罪対策2課だった。
「外国人による殺人や強盗、傷害などの犯罪を担当する部署です。犯人が分かっている単純な事件を本部が担うのは、中身の性質上、神経を使う必要があるからです」(全国紙社会部記者)
だが、事件は被害届の受理から2日後に警視庁がゴゴチュリ選手を逮捕するという異例の展開を見せた。前日に事件が報じられ、ジョージアのパラリンピック委員会が「ゴゴチュリ選手の参加資格を剝奪して出場させない」とコメントしたことが背景にあると前出の大会関係者は言う。
「ジョージアは五輪でも2人の選手が観光目的で選手村を抜け出して帰国後に参加資格を剝奪されていました。『またか』という世論の高まりが、元々根強くあった五輪反対論につながることを政府も大会組織委員会も懸念しました。事態を重く見たジョージアのパラリンピック委員会も、端的に言うと選手を守りませんでした。それにより、沈静化させるために選手の逮捕につながったのでしょう」
ゴゴチュリ選手は、警視庁の調べに「何も言い訳はありません」と、警備員への傷害を認めたという。逃げる恐れも、証拠隠滅の可能性もない容疑者のスピード逮捕は、こうして実行された。
「逮捕を受け、ジョージア側は正式に被害に遭った警備員に謝罪し、補償について話し合いを始めたようです。話がまとまれば、被害届が取り下げられ、起訴されることはないでしょう」(前出の全国紙記者)
波乱の五輪に引き続き、パラリンピックも開幕前から揺れている。