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銀座、霞ヶ関あたりをブラブラしながらネームを書いています

──リアルさを出すために、徹底した取材を行っているとお聞きしました。

真鍋 『ウシジマくん』では、依存症やギャンブルなどで闇金に頼らざるを得ない人たちや闇金業に関わる人たちまで、1000人以上の人たちに実際に会って話を聞きました。『九条の大罪』でも当事者への取材は、引き続き行っています。

 描写に関しては、取材対象者が何を着ているか、どんな時計をつけているかなど、かなり細かいところまで観察して描写に生かしています。リアルさを出すために街の風景を写真に撮ることもあります。

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 でも、一番表現したいのはそこじゃない。思考や考え方のクセ、言動などを細かく描き出すことで「リアルさ」を表現したいので、キャラクターが実際にいそうな場所でネームを書いたりしています。『ウシジマくん』の時はよく歌舞伎町を移動しながら書いていましたし、今は裁判所が近いので、銀座、霞ヶ関あたりをブラブラしながらネームを書いています。

都会的なインテリアの仕事場で

取材対象者から探偵をつけられたこともありました

──本音を引き出すのが難しい取材対象者も多いのでは。

真鍋 取材対象者のなかには、毎回同じ話しかしない人もいれば、まったく話してくれない人もいますが、何回か朝まで一緒に飲んだりすると、話してくれない人も、少しずつ話してくれるようになります。情報をラインで送ってくれる人もいるし、その人によってやり方はいろいろなので、長い時間をかけて自分が受け入れてもらえるような信頼作りは心がけています。

 でも中にはヤバい人もいて、取材対象者から探偵をつけられたこともありました。その対象者とは鶏鍋屋で和解したんですけど、店の女将が鶏鍋を作っている横で、2人でずっと棒立ちで話していて……。ビールの泡がなくなって色水みたいになるわ、鍋のスープは煮詰まって焼き鳥みたいになるわで、なんの罰ゲームかと思うような時間でした。

 取材対象者と朝まで飲んだ挙げ句に、泥酔して自力で帰れなくなったことも多々ありますし……。漫画家って机の前にただ座っているだけじゃなくて、結構身体張っているんだってことを知っていただけたら、報われます(笑)。

【続きを読む 「自分が受け入れられた感覚がない人って、苦しさを抱えている」 『九条の大罪』の真鍋昌平が“お金がない時代”に大切にしていたこと】

(初出:2021/05/28、取材・構成:相澤洋美、撮影:今井知佑/文藝春秋)

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