昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

《兵庫「孫」殺害事件》 祖父母は都会から“子育て世代に優しい田舎”への移住組 「1対1の育児。孤独を感じていた」

「人生の楽園」で見たリアル

genre : ニュース, 社会

 観光客用の貸ボートが浮かぶ東条湖やゴルフ場、キャンプ場のそばで、森林の中にひっそりとたたずむ五所ヶ池。池の周辺には民家が数軒あるだけで、夜は静寂に包まれ、足がすくむほど真っ暗だ。浅瀬もほとんどないため、湖畔で遊ぶ子供の姿や、釣り人の姿も見当たらず、「近所に住んでいても誰も立ち寄らない池」(近隣住民)だという。

殺害現場となった五所ヶ池 ©️文藝春秋

 そんな五所ヶ池で7月22日午前9時、膝下まで水につかった状態で呆然とたたずむ木本恵理子容疑者(50)が発見された。腕には孫の田口怜旺くん(2)の遺体を抱えていたという。その場で怜旺くんの死亡が確認され、死因は溺死。木本容疑者も衰弱しており、当日に病院に入院。1カ月弱経ち、退院した8月16日に怜旺くんを殺害した容疑で逮捕された。

 殺害当日、木本容疑者は加東市外の保育園に怜旺くんを迎えに行き、その後に行方がわからなくなったという。警察関係者が語る。

「夫はすぐに捜索願を提出。加東署署員が探し回ったところ、翌日朝、五所ヶ池へ分け入る小道に木本容疑者の車が停まっているのを発見しました。木本容疑者は『私ひとりでやりました』と容疑を認めていますが、退院したばかりで詳細な動機は分かっておらず、取り調べはこれからです。無理心中も視野に入れて捜査しています」

 怜旺くんはなぜ祖父母と暮らしていたのか、そして木本容疑者はなぜ可愛い盛りの孫を手にかけるに至ってしまったのか。木本容疑者の周辺を取材すると、彼女の“孤独”が浮かび上がってきた――。

都会からの移住組だった木本容疑者夫婦

 木本容疑者夫婦が住む加東市は、移住政策に力をいれてきた。「兵庫県加東市は、住むのにちょうどいい、かと。」などと題された定住移住ガイドを発刊してもいる。木本容疑者夫婦もこの土地の地元民ではなく、都会からの移住組だ。

定住移住ガイド~子育て編~(加東市公式サイトより)

「木本容疑者夫婦は2015年頃に大阪から引っ越してきました。もともと木本容疑者の自宅には木材の加工や販売をしていた会社があったのですが、その建物を夫が買い取り、車部品の製作・販売をする会社兼自宅にしたんです。木本容疑者が元々の住民に連れられ、『今度代わりに住むことになりました木本です』と丁寧に、玄関口に挨拶に来たのを今でも覚えています。