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合計4人で積極的な職務質問

 われわれが職務質問をはじめると、すぐ工藤會側が応援を集めるので、パトカーには、特遊隊員2人と応援の第二機動隊員2人、合計4人を乗車させた。数には数で対応するためだ。通常、工藤會側は1台の車に、多くて2、3人乗車だから、相手が1台なら、パトカー1台で十分対応できるようになった。工藤會側が応援を求めたら、こちら側もすぐ応援を派遣するようにした。無線を傍受した機動警察隊や所轄警察署のパトカーも応援に駆けつけてくれた。

 機動警察隊の各班、パトカー勤務の警ら班、私服の機動捜査班、そして交通取締り専門の機動取締班などに加え、倶楽部ぼおるど事件を受けて新設された小倉北署堺町特別対策隊員らも繁華街で工藤會組員に対する積極的な職務質問を行った。

 平成18年4月以降、徹底した職務質問により、暴力団員のみならず、行動を共にしている親交者、彼らの使用車両、住所、携帯電話番号など貴重な情報を収集していった。ある程度の雑談に応じる組員も増えてきた。

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昭和33年以降の「暴力団勢力」の推移

 制服警察官の職務質問により、相手の暴力団員の住所、使用車両、同乗者などがわかる。実際の住所と免許証の住所が違っていれば、免状不実記載で逮捕されるので、組員たちも免許証には本当の住所を載せるようになった。

制服警察官の地道な努力

 数か月後、工藤會は組員に対して、「職務質問には応じてよいが、車内検索には応じるな」と指示を変えた。そのほうが面倒が少ないと判断したのだ。

 実際には、工藤會の事務所周辺や禁制品を所持している場合を除き、多くの組員は車内検索にも応じるようになった。私のもとには、これらの報告書が毎日送られてきた。時に100件近くになることもあったが、必ず全て目を通した。

 結果が明白な捜査部門と異なり、地域部門や交通部門の活躍は見えにくい面があるが、彼ら制服警察官の地道な努力も、情報収集に大いに役立っていることを強調したい。