3大会連続でメダルを獲得
2012年のロンドン大会、2016年のリオデジャネイロ大会と、藤田はパラリンピック出場を重ねた。ロンドンで銅、リオで銀と3大会連続でメダルを獲得した。
「パラサイクリングという競技の進化はものすごいんです。ライバルもどんどん強くなっています。そうしたなかで、置いていかれないように、いかにして勝負できるレベルに自分を高めていけるかということをずっと考えながらやってきました。パラリンピックに出るたびに『まだ、できることがあるな』と思って、次のパラリンピックに向けていろいろな取り組みをする。それが糧になって、またできることが増えていく。だから、終わりのイメージはないですね。ここまでやればオッケー、みたいなことってないと思うので」
自転車競技に専念するようになって14年ほどが経つ。かつての未熟者は熟練者となり、リオ大会のあとには父親にもなった。
藤田選手の終わらない旅路
自身4度目のパラリンピック。意気込みを尋ねられ、適切な言葉を宙に探すようにしながら語る。
「自国開催のパラリンピックに選手として出られるのは、もちろん特別なことだと思いますし……いままでやってきたことで、どこまで戦えるか。みんなでやってきた取り組みが、どこまで通用するか。それをいちばんいい結果で表現できれば――」
そこでいったん間を置いて、思い直したように付け加えた。
「やっぱり、どこまで行ってもチャレンジなんだと思います」
キャリアの集大成でも、総決算でもない。「これまで」と「これから」をつなぐ挑戦の舞台。それが、パラリンピックだ。
まだ手にしていない金色のメダルはたしかにほしい。だが仮に手に入れたとしても、藤田の旅路は終わりそうにない。
「まだ、できることがあるな」
そうつぶやきながら義足をはめ、自転車にまたがるに違いない。
写真=杉山秀樹/文藝春秋
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