2021年8月27日、“迷惑系YouTuber”の「へずまりゅう」こと原田将大被告(30)に対し、懲役1年6カ月、執行猶予4年の有罪判決が言い渡された。スーパーで会計前の魚の切り身を食べるなどの行為で、窃盗や威力業務妨害の罪に問われていた。
若者を中心にカリスマ的な人気を誇るYouTuberだが、再生数が収入に直結する構造からエスカレートし、トラブルにつながることも多い。刑事事件に至った「へずまりゅう」のケースはその1つである。なぜ、彼らは“暴走”するのか?
そこで文春オンラインでは、YouTuberが引き起こした「事件」の記事を再公開することとした(初出2020年10月20日、肩書き、年齢等は当時のまま)。
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迷惑が金を生む時代だ。ユーチューバーの「へずまりゅう」こと原田将大容疑者(29)ら2人が威力業務妨害などの容疑で大阪府警に16日に逮捕された。洋服店のブランド商品が偽物だと難癖を付けて業務を妨害したという一見、他愛もない事件だが、逮捕は3カ月余りで2度目だ。
「偽物でしょ。日本人だまして楽しいっすか?」
「アメ村の黒人ぼったくり店に凸撃してみた」と題する5月に投稿された動画(現在は削除)で、肥満体型の男が、同店のTシャツを手に、たたみかけるように店員に迫っていた。「へずまりゅう」こと原田容疑者だ。
「交番の警官、役に立たないです」などと警察官を罵倒
原田容疑者は「迷惑系ユーチューバー」としてネット界隈では知られる。迷惑行為を繰り返し、それを動画配信サイト「YouTube」に配信することでアクセス数、ひいては広告費を稼ぐというわけだ。
動画では原田容疑者は同店でTシャツを購入。ほつれが見つかったとして「返品してこようかと思います」と言い、店外に店員を呼び出していた。
その後も「ボケ!」などと店員を罵倒する原田容疑者。近くで警察官を見つけると、同様のクレームを繰り返すが、今度は「消費者センターに相談を」と受け流す警察官に攻撃対象を移し、「交番の警官、役に立たないです」などと罵倒。「また行くぞ」などと捨て台詞を吐いて動画は終わった。
動画は数日で50万回近く再生。単純計算で数万円の収入が原田容疑者らに入ったことになる。黒人、警察官など人の感情を刺激するキーワードがアクセスを稼ぐのか。
だが、「へずまりゅう」こと原田容疑者が悪名をとどろかせたのは、この動画とはまた別の一件だった。
魚の切り身窃盗、コロナ拡散で悪名とどろく
へずまりゅう、という不思議な言葉になんとなく既視感があるのは、7月の新型コロナウイルス騒ぎがあったからだろう。
原田容疑者は、愛知県岡崎市のスーパーで会計前の魚の切り身を食べるところを5月に配信。7月にそれが窃盗にあたるとして窃盗容疑で愛知県警に逮捕されたが、逮捕後にコロナへの感染が確認されたのだ。