文春オンライン

2021/09/03

移籍先で再起を期しているのは何も中田だけではない

 話が逸れたが、佐藤の最大の魅力はパンチの効いたバッティングだ。8月20日の楽天戦で1軍登録、二塁で先発起用されると初打席で移籍後初安打を放った。中村や山川ら強打者の並ぶ西武育ちらしいスイングと、風貌が魅力だ。同31日のオリックス戦では初打点を挙げ、木村とともに初のお立ち台に立った。「いやあ、うれしいです」。照れたような笑いを浮かべた。ドーム球場なのに目の下にアイブラックを塗りたくった姿は、トレードマークになりそうだ。

 日本ハムは2004年の北海道移転前後から「スカウティングと育成」をチーム方針に掲げて強くなってきた。その後、高田繁GMが移ったDeNAや、福良淳一GMと中嶋聡監督ら元日本ハムの首脳陣が在籍するオリックスにそのノウハウは移転され、成果を挙げているように見える。ただチーム運営のトレンドにも、旬の時期がある。育成重視が日本ハムだけの方針でなくなった今こそ、他球団からノウハウを取り入れてもいいのではないだろうか。

 2023年に北海道北広島市に開場する新球場「エスコンフィールド北海道」は、現在の札幌ドームよりもグラウンドが狭く、フェンスも低い“打者有利”の球場になるという。ならば目を向けるべきは、強くスイングできる打者を獲り、さらにひたすら振ることでプロのレベルに育て上げる西武のノウハウだ。佐藤はまさにその中で、頭角を現すのを期待されていた選手だ。

 昨春、コロナ禍による外出禁止の時期にゴルフに出かけたのが発覚、さらにスピード違反まで犯すという蹉跌はあった。年末までの4カ月強にわたり、ユニホームを着用しての練習すら許されないペナルティを受けた。移籍先で再起を期しているのは何も中田だけではない。やってきた男に期待しようではないか。

 そういえば、前述した鎌ケ谷の試合で、気になったことがある。今年の2軍は、とにかくベンチから大きな声が出る。合流したばかりの佐藤にも声が飛んだが「龍!」「龍世!」という声は多くなかった。なぜかと言えば、次を打っていた樋口が「龍さん」と呼ばれているからだ。日本ハムで「龍」と言えば、ずっと渡部龍一捕手(現1軍ブルペン担当)のことだった。それが今度は3人になる。年で言えば樋口のほうが3つ上。呼び名問題の行方にも注目だ。

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