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 1人で思い悩む桃子さんが思い切って警察に通報したのは2021年2月12日。きっかけはとある“有名YouTuber”の騒動だった。少女にわいせつな動画や画像を要求したYouTuberの行為が問題になっているのを見て、桃子さんは自分が受けているのが犯罪行為なのだと気づいたという。

村上から桃子さんに下半身の動画が送られてくることも

「YouTuberのワタナベマホトが炎上しているのを見て、自分が村上にされたことが何なのかがやっと分かったんです。自分の責任だと思い込んでいたけれど、大人が罪になるんだということも初めて理解しました。親に知られたくない気持ちはもちろんあったんですが、勇気を出して親に伝えて2月12日に警察に行きました。LINEのやりとりなども全て提出しています。私が警察に行った時には、村上はすでに監護者わいせつ罪で逮捕されていて驚きましたが、検事さんから『追起訴という形で一緒に追及する』という説明を受けました」

©iStock.com

「村上は刑務所に行くのが罪を償うことなのかもしれないけど」

 通報から2カ月以上がたった4月30日、桃子さんは村上側の弁護士からSMSで謝罪文を受け取った。同時期に損害賠償について、民事裁判ではなく示談による解決の提案を受け、桃子さんは親と相談したうえで5月17日に示談に応じることにした。

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「今でも村上の曲を聞くと当時のことを思い出して辛くなります。Tohjiの曲も大好きでしたが、村上の名前が歌詞に入っている曲もあるので全部ブロックしました。一緒に仕事していたメンバーにも、一緒にいたなら気が付けなかったのかなとか、注意できたのではと思ってしまいますね」

村上が出演予定だったイベント。直前に逮捕された

 そして2021年6月10日、桃子さんが児童買春、児童ポルノに係る行為の被害を受けた事件と大阪での監護者わいせつ事件とが併合審理されていた刑事裁判で、村上は懲役2年の実刑判決を受けた。その時の心境を尋ねると、桃子さんはしばらく考えこんでから口を開いた。

「実刑になったと聞いても、嬉しいとかホッとしたという気持ちはなくて、むしろ『自分はこれからどうしようかな』という気持ちでした。村上の件があって精神的に不安定になってしまって、今も精神科のカウンセリングに通っています。まさか自分がこういうことに巻き込まれるとは思っていなくて、親や周りの人にも迷惑をかけ、自分自身にも裏切られたようなショックが大きいです。村上は刑務所に行くのが罪を償うことなのかもしれないけど、被害者って何もすることが残されていないですよね。

大阪市内にある村上の実家 Ⓒ文藝春秋

 村上自身がいなければこんなことにはなっていなかったはずなので、存在自体を恨む気持ちはあります。でも恨んでもどうにもならないから、なんとか一生懸命自分が前を向けるようにがんばっています」

 少女たちを苦しめた罪は重い。

9月3日(金)21時からの「文春オンラインTV」では本件について担当記者が詳しく解説する。