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「アイドルのような取り上げられ方に不快感があっても我慢する選手も…」 アスリートの“容姿”を巡る報道に、元オリンピアンの井本直歩子さんが思うこと

2021/09/06
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 それから、これは「ガイドライン」であり、強制するものではないということ。もちろん、人気や視聴率、購買率は大事であり、容姿端麗なアスリートにフォーカスがいくのはよくあることで、それによるファンも増えて競技の人気が高まるのは良いことでしょう。

 選手だって、外見を注目されて嬉しくない人は少ないと思いますし、バラエティ番組に出ることが好きな選手もいる。そうやってファンを増やしたい、それが競技の人気やスポンサー獲得にも繋がると思うのは当然です。特に「マイナー競技」にとっては死活問題。

 でも、例えばカーリングやビーチバレーでビジュアル重視の取り上げられ方をされてきた元アスリートの女性たちと話しても、現役時代はアイドルのように取り上げられることに違和感、不快感があっても我慢していたり、めちゃくちゃ頑張って日々練習してきているんだからパフォーマンスもちゃんと見てよ、と思っていたと言っている人もいました。アイドル的人気で話題になったとしても、長期的視野でその競技の魅力を伝えていく必要がある。この点をもっと訴えていく必要があるのが、競技団体であり、選手だと思います。

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©iStock.com

 大切なことは、「これはスポーツですから、ビジュアルだけを過剰に報道するのではなく、競技性をきちんと伝える努力もしてくださいね」と誰かが言うこと。バランスの問題で、アスリートを芸能界のタレントと区別することの必要性を私たちは唱えているのです。

【続きを読む 「今回のオリパラでは、ルックスや私生活に過度にフォーカスした報道は減った手応えがある」 元オリンピアンが進めたいジェンダー偏見のない、ありのままのスポーツ報道】

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