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 だからこそ、スポーツの報道において、営利目的の中にも、ジェンダーに偏った内容を極力なくし、競技性やありのままの女性アスリート像を強調するといった、ジェンダー平等のための社会的配慮を促していきましょう、というのが、今回の「表象ガイドライン」の意図です。

 その甲斐あってか、また、コロナ禍で事前の報道が控えられていたこともあってか、今回のオリパラに関する報道では、ルックスや私生活に過度にフォーカスした内容は例年に比べて少なくなっている手応えがあります。そして、増田明美さんがマラソン中継の解説中に、ある選手の私生活のことについてコメントしたことが炎上するなど、視聴者の認識が高まっている印象を持ちました。

なぜジェンダー平等を進めなければならないのか

 今まで多少熱く語ってきましたが、かく言う私はジェンダーの専門家ではありません。この18年程、ずっと発展途上国で平和構築支援や教育支援をしてきました。今年2月、ちょうど赴任先のギリシャから久しぶりに日本に帰国したばかりの時に、森喜朗元オリパラ組織委会長が発した「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかる」という、いわゆる「森発言」に出くわしました。その後、橋本聖子新会長が東京2020組織委員会内にジェンダー平等推進チームを立ち上げると耳にした時、せっかく休職中なので、チームリーダーの小谷実可子さんに「お手伝いしたい」と申し出ました。

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 同チームのアドバイザーにしていただくことは、ジェンダーの専門家ではないのだから、かなり勇気が必要でした。でも、専門家は他に沢山いますが、テクニカルな知識だけが仕事ではないし、元オリンピアンで、ジェンダー平等の話が毎日のように話題に上る国連機関に長く勤めてきた自分だからできることもあるかなと思いました。何よりも、ジェンダー後進国の日本で、せっかく「森発言」の追い風がビューンと吹いている今だからこそ、このオリパラを変わるきっかけにしなければならないという強い気持ちが原動力となって自分を動かしていました。