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「今回のオリパラでは、ルックスや私生活に過度にフォーカスした報道は減った手応えがある」 元オリンピアンが進めたいジェンダー偏見のない、ありのままのスポーツ報道

2021/09/06
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「男性の本心を知りたい」

 そして、足りない知識を補おうとこの半年間学んできましたが、センシティブな問題だから、常に恐る恐る、言葉を選びながら発言しています。

井本直歩子氏

 世の中の多くの男性は、テレビでタレントさんなどが炎上する度に、自分も冷や冷やしているかもしれません。それでも、あくまでも「自分の不勉強で地雷を踏まないように」といった、ポリティカル・コレクトネスだけ押さえておけばいいや、が本音にあるように感じます。つまり、なぜジェンダー平等を進めなければならないのか、という根本のところは共有できていないのでは、と感じる部分もあるのです。無関心なのか、自分の身の回りの社会を変えようという意欲がないのか、それとも本当のところは、男性の既得権益が奪われるから黙っておこうと思っているのか、本心を知りたいところです。

 数ヶ月前、主宰したある勉強会で、パネリストの元ラグビー日本代表の廣瀬俊朗さんが次のように発言されていました。

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「ジェンダーについてまだよくわかっていないけれど、知らないままではいけないと思ったから今日は学ぼうと思ってきました。特に男は下手なことを言っちゃいけないと思いがちだけれど、発言する場に出ていくことで学べると思った。間違った発言があっても寛容にお願いします」

 今の日本は、ジェンダーに関して間違った発言をするとすぐに炎上してしまうので皆、冷や冷や。でも大切なのは、なぜそれが大事で、推し進めなければならないのか、根本のところを理解して、皆で学んでいく姿勢だと思います。

 ジェンダー不平等をなくすことで、自分らしく、居心地良く生きられる人が増えれば、社会全体の幸福度も上がっていく。幸福度が上がれば、みんながいろいろなことに前向きに取り組めるようになり、好結果が得られるという好循環が生まれます。

 良くも悪くもオリパラを機に議論がしやすくなった。これからも、学びの場を提供するお手伝いをしていきたいと思っています。

「今回のオリパラでは、ルックスや私生活に過度にフォーカスした報道は減った手応えがある」 元オリンピアンが進めたいジェンダー偏見のない、ありのままのスポーツ報道

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