8月に京山将弥投手がジャイアンツ山口投手とスワローズ奥川投手に投げ勝った試合も、チームを乗せました。控えめで口数は多くありませんが、力を増したストレートには「打者の反応が変わってきた」と本人も手応え。2年目の2018年9月21日ドラゴンズ戦で引退登板の加賀繁投手の後を受け、1回1死から最後まで1失点のみで投げ切った快投を越える日は近いのではと思っています。
個々もチームも魅力を増したベイスターズだからこそ、残り30試合ほどとなってしまったのはもったいないと思いつつ、日々中継の準備をしています。
深澤弘さんの教えの中で、いつも大切に心に刻んでいること
そんな矢先、ニッポン放送の実況で一時代を築かれた深澤弘さんの訃報を知りました。
ニッポン放送で私がスコアラーのアルバイトをしていた20歳の春、大学の放送研究会の偉大な先輩である深澤さんにご挨拶したことがあります。深澤さんは「おお、後輩か。でもお前の顔は大学生に見えねえな。アメリカのカンザス州の小麦畑に、お前そっくりの人がたくさんいるよ」と。以後顔を見るたびに「カンザス、元気か」と親しみを込めた声をかけてくれました。嬉しかったですね。
12年後の1997年にはtvkのベイスターズナイターを深澤さんに実況していただく機会に恵まれましたが、この時ベンチリポートを担当できた幸運は、夢が一つ叶った思いでした。
深澤さんからは「口をちゃんと縦に開けろ」「生意気な放送をするな。素直に実況するんだぞ」と会社の枠を超えてアドバイスをいただきました。ありがとうございます。
今も放送を聞いていただけたなら、まだまだ沢山のお叱りを受けそうです。
深澤さんの教えの中で、いつも大切に心に刻んでいることがあります。
「放送を見て聞いて良かったと、誰かに思ってもらえる中継をする」。
今、ベイスターズは伝えたい魅力にあふれています。教えを守り、野球を愛する人たちの心に届く放送をずっと目指していくことを誓います。
◆ ◆ ◆
※「文春野球コラム ペナントレース2021」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイト http://bunshun.jp/articles/48401 でHITボタンを押してください。
この記事を応援したい方は上のボールをクリック。詳細はこちらから。