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オリックスファンの心を一つにしたのは“スーパー未成年”紅林弘太郎だったのかもしれない

文春野球コラム ペナントレース2021

2021/09/23

 あなたがもし、19歳の自分自身に手紙を書いて渡すとしたらいったいどんな言葉をかけてあげますか?

 自分ならどうだろう。バイトや遊びを減らしてもっと曲を書けとか、色んなライブに出演しておけとか。きっと限りなく叱咤要素の強い叱咤激励のお手紙になるのだろうか。今では選挙権を有し「特定成人」なんて言葉で大人として括られる事もある19歳。それでも成功への希望と将来への不安が入り混じりながら、漠然と何かを求めてもがいている年頃だろう。子供は卒業して大人への入学直前。人生の春休み期間。「特定成人」なんて言っても生身の19歳なんてそんなもんだろう。

 しかし、世の中にはそんな「フワッとした」空気とはかけ離れた所で戦っている19歳が沢山いるのもまた事実で、貴花田(後の横綱・貴乃花光司氏)が幕内初優勝を達成したのも、坂本勇人(東京読売ジャイアンツ)が開幕スタメンで颯爽とデビューしたのも19歳。大人達にさえ尊敬を抱かせるスーパー未成年。実は今年のオリックス・バファローズの躍進に欠かせない存在がそのスーパー未成年、紅林弘太郎なのではないだろうか。 

紅林弘太郎

技巧派から勝ち取ったポジション

 今年のオリックス・バファローズを表現するのに、新戦力の台頭という言葉がよく使われる。確かに長く低迷が続いていた数年前までと現在のスタメンではその顔ぶれが大きく異なっている。サード・宗佑磨やセンター・福田周平といった嬉しい副産物もあるのだが、何より驚いたのが二遊間の配置ではなかっただろうか。

 もともとオリックス・バファローズのショートは長く安達了一の牙城だった。過去のこのコラムでも度々取り上げたが安達の守備は特級品だ。安達が居る限りショートのスタメン枠が空くことは無いと誰もが思っていた事だろう。それが今となっては紅林の定位置となっているのだから、やはりプロ野球は面白い。

 まるで2008年の巨人のような感じだろうか。誰もがショートは二岡智宏の牙城だと思っていたが、その年を境に坂本勇人の定位置となった。奇しくも坂本も紅林もその当時入団2年目の19歳。技巧派と呼ばれる遊撃手からそのポジションを奪ったのは、中~長距離打に期待が持てる右の大砲で大型遊撃手だった。