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勝ちパターンのリリーフは「目立たずに活躍するポジション」

 考えてみると堀瑞輝ももうプロ5年目になるんです。堂々のドラフト1位入団なのですが、新入団選手発表記者会見で「僕は暗い男です」と言ったんですよね。ドラ1ルーキーの第一声としては、あんまり見ない展開じゃないでしょうか。この時は更に続けて「目立つことが得意ではないので」とも言い、しかし投手がマウンドの真ん中にひとり立っていて目立たずにいるというのも非常に困難な話です。この子大丈夫かなあと思ったりしたものでしたが、マウンド度胸はあるんですね。

 その秋には日本代表に呼ばれて第1回アジアプロ野球チャンピオンシップで投げているのですが、2死満塁という大ピンチでの登板で、堀瑞輝その時19歳、マウンドで笑っていたというんです。代表コーチの建山義紀は当時も「びっくりしました」と語っていましたが、よほど印象的だったと見えて、今年もUHB北海道文化放送の番組「F-PARK」でインタビューした際に、4年前の話になりました。すると23歳になった堀瑞輝曰く「ピンチの時の方が楽しいって思うことがあるんですよ」。経験を積んだ分だけ怖さも知った筈の今でも「緊張とか絶対点を与えないというよりも、この場面でいくのオモロ!っていうような気持ちが出ちゃうことがあったんで」と。

 今この文章を書いている9月21日現在、堀瑞輝の最新HPは18日の対マリーンズ戦で挙げたものですが、実はこのデーゲームの試合を昼間家にいなかった私は観ておらず、それで夜の「プロ野球ニュース」を楽しみにしていたんです。先発ドリュー・バーヘイゲン好投、2番手堀瑞輝好投、3番手ブライアン・ロドリゲス大劇場だったけど無失点、そしてクローザー杉浦稔大が締めた訳ですが、この中で堀瑞輝の姿だけ映像で確かめることができませんでした。中継ぎ投手の好投って端折られがちなんですよね。アナウンサーさんが「8回は宮西が無失点」とか何とか言うだけで、映像はクローザーが最後のアウトを取るところ。得てしてこんな感じです。

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 あ、ということはつまり勝ちパターンのリリーフって「目立たずに活躍するポジション」だということになりますね。これはまさしく堀瑞輝にうってつけではありませんか。

 その翌日19日の試合は終始ビハインドの展開だったので彼の出番はありませんでしたが、宮西尚生が出てきたところでこんな話題になりました(HTB北海道テレビ放送の中継でした)。

 もしも、今年このまま本当に、堀瑞輝がホールド王、最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得することができたら。

 その時は「いつもお世話になっている宮西さんが欲しがっている時計を買ってあげたいそうです」というのを聞いた解説・岩本勉、最初は早合点で勘違いしていました。「宮西さんが時計を買ってくれる」んだって。そうじゃないんです。後輩・堀瑞輝が宮西先輩に、買ってあげたいと思ってるんだそうです。

 タイトル記念としてはちょっと珍しいこの念願。どうか叶いますように!

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