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2021/09/17

source : 文春新書

genre : ニュース, 読書, 社会, テクノロジー

ユーチューブの「閲覧注意」動画

 身近でありながら自分ではできないことを実行してくれる動画は、「やってみた系」とも呼ばれる。たとえば大食いや変装、おまけ付きの菓子を大量購入して当たりの確率を探る、クレーンゲームで景品を得るために10万円をつぎ込むなど、誰でも好奇心を持ちそうな内容で、かつ驚きや意外性があるほど話題を集めやすい。

 高校2年生の亮介さんは毎日2、3時間、「やってみた系」の動画を見る。特に気に入っているのは、投稿者自身が体を張って無茶なことをする動画。たとえばお尻に火のついたロケット花火を挟み、発射の衝撃でのけぞる人の様子を撮影したもの。ドッグフードや雑草などを食べつづける人が、体の状態を報告するもの。スタンガンや防犯用の唐辛子スプレーを自分の体で試すもの。苦悶の表情や叫び声に「こいつら、マジやべぇ」と思いながらも、人体実験のような迫力がおもしろいという。

「友達も結構見てますよ。ヤバイ動画があるとSNSで情報がまわってくるし、学校でも『あいつ、そのうち死ぬんじゃねぇ?』って話題になります。中にはヤラセっぽいものや、どう見ても炎上狙いっていうのもあるんです。でもそういうヤラセ疑惑を利用して、また別の動画が作られたりするんで飽きないんですよ」

 手品のネタばらしやUFOの映像解析のように、話題になった動画の裏側を別の投稿者が解説したり、パロディーに仕立てたりする。そんなふうに次々と関連動画が公開されるため、病みつきになるというのだ。

 亮介さんは一時、「閲覧注意」の動画にハマったこともある。グロテスクだったり、衝撃的だったりする動画は、視聴者にショックを与える可能性が高いため、「閲覧注意」と表示される。そうした注意を承知の上で見ていたのは、よりによって「死体動画」だった。

「死体動画って言うときわどく思えるけど、もともとは戦争や災害、事故とかで犠牲になった人の写真や映像です。昔は今と違って規制がゆるいから、首が飛んでるとか、かなりグロいのが多いんですよ。まぁ世間一般に公開されてる戦争映画だって、体がバラバラになるシーンとかふつうにあるじゃないですか。別に悪いとは思ってないし、ただの怖いもの見たさという感覚です。中には宇宙人や雪男、カッパの死体とか、完全にギャグっていうのもあるから、結構ウケますね」

小2息子の検索履歴に『おっぱい』

 日々配信される動画の大半は、「見てみたい」、「知りたい」といった視聴者の欲求をもとにしている。そうした好奇心は当然ながら低年齢の子どもにもあり、ときに思いがけないトラブルが生じたりする。小学2年生の息子を持つ父親(42歳)は、子どもがクラスの友達と一緒に見ていた動画に困惑したという。