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ネットに加害者かもしれない子を集団で晒す怖さ

 廣瀬さんは以前からネットで加害者を特定するような動きに対して、「関係者を捜したり、断定する事は控えて下さい」と、訴えてきた。その気持ちは今も変わっていない。

「ネットでは“建前”と書かれてしまうことがありますが、建前ではなくて、公表されていない誰かを探ると、間違える可能性があります。必ず間違いが起きてくるし、仮に本当に加害者だったとしても、世界中に『加害者』だとか、『死ね』とか、言われるのは間違っていて。日本は法治国家だから法に則って罪を償うべきです。

 報道で爽彩のことを知って、ネットに加害者かもしれない子を集団で晒すことが遺族のためになるとは思えません。晒された子に兄弟がいたら、その子は何も悪いことをしていないのに叩かれてしまう可能性があります。親、兄弟、家族、親戚までも迷惑がかかってしまう。晒されてしまった人は晒した人に腹が立ち、私たちに対しても憎しみや憎悪が生まれ、あらぬ方向に矛先が向くかもしれません。私たちは毎日、不安な思いで生きています」

もう一度爽彩に会いたい

 爽彩さんの母親がイジメに対して込めた思いは、「イジメられる側に原因はない」という言葉だった。

幼少期の廣瀬爽彩さん

「これまでイジメに関する本は多く出ていると思うんですけど、その中には被害者はこんな子だったんだよって書いてあると思います。でも、その被害者たちに共通することってなにもないと思う。つまりイジメられる側にきっと責任はないと思うんです。イジメは誰にでも起こり得ることで誰でも被害者になる。自分が今、イジメられている、もしくは自分の子どもが今イジメられていた時、『自分の子どもが悪いのか』『自分が弱いのか』そういうふうに思いがちだけど、そうじゃない。

 私はイジメられる側に原因はないと思っています。イジメた人が悪いって、もう一度思い直してもらえたらうれしいです。何をされてもイジメをしていいことにはならないし、イジメの免罪符にはならないのです。爽彩はもう帰ってはきません。でも、私はもう一度爽彩に会いたいです」

 そう言って、涙を浮かべた廣瀬さん。手記の最後にも「もう一度爽彩に会いたいです」と綴った。

9月10日(金)22時からの「文春オンラインTV」では本件について担当記者が詳しく解説する。

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 中学2年の少女を死に追いやったのは、誰か?

 凄惨なイジメの実態、不可解な学校の対応――。遺族・加害者・関係者に徹底取材した文春オンラインの報道は全国的な反響を呼び、ついに第三者委員会の再調査が決定。北の大地を揺るがした同時進行ドキュメントが「娘の遺体は凍っていた 旭川女子中学生イジメ凍死事件」として書籍化されます。母の手記「爽彩へ」を収録。

娘の遺体は凍っていた 旭川女子中学生イジメ凍死事件

文春オンライン特集班

文藝春秋

2021年9月10日 発売

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