今年3月、北海道旭川市の公園で凍った状態で発見された廣瀬爽彩(さあや)さんの遺族の代理人が8月18日、市内で記者会見を開き、遺族の手記を公開した。
文春オンラインでは、これまで、爽彩さんが凄惨なイジメを受けていたこと、失踪直前までそのイジメによるPTSDに悩まされていた事実などを報じてきた。これらの報道を受け、今年4月、旭川市はイジメが実際にあったかどうか再調査を開始した。遺族は今回公表した手記の中で、「爽彩に何があったのか、真相を明らかにして欲しいと願っています」と改めて訴えた。
しかし、その2日後の8月20日には新たに爽彩さんの死体検案書について、誤った病名が記載されていたことがわかった。全国紙社会部記者が明かす。
死亡原因欄に推測で書かれた「統合失調症」の病名
「死体検案書の死亡原因欄に実際はかかっていなかった『統合失調症』の病名が記入されていたのです。遺族側が解剖した病院に確認すると『服用していたPTSDの薬から道警が病名を推測して伝えたものを、医師がそのまま書いた』と答えたそうです。死体検案書はその後遺族の指摘を受け、訂正されました」
厚生労働省は死体検案書について、客観的事実の正確な記入を求めている。「なぜ、警察は“推測”で間違った病名を伝え、病院もまた警察の言葉を鵜呑みにしてしまったのか」と、遺族は疑問に思ったという。
実はこうした捜査機関への“疑問”を、遺族は爽彩さんが失踪した今年2月13日直後から何度も抱いてきた。爽彩さんの捜索にも携わった親族が明かす。
「爽彩が失踪した当日、母親は駆けつけた旭川東署の警察官から『些細なことでもいいので、何かなかったですか?』と聞かれたそうです。母親はお昼頃に仕事で爽彩のパソコンを使ったときに、データがデスクトップに保存されていて重くなっていたので、『全部デスクトップに保存しているから、しないほうがいいよ』と軽く注意したという話を思い出し、警察に告げたそうです。
なぜか調書で、母と爽彩さんが「大ゲンカした」ことに
その日は、親族や知人らも集まり、必死で爽彩を探しましたが足取りは掴めず、翌日になってしまいました。午前中に母親が旭川東署に呼ばれました。母親が署に到着すると、1階にある会議室に通され、警察が作成した『爽彩失踪についての調書』を読み上げられたそうです。