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 僕らとしては、ファンが集まったことで、一般のお客さんが怪我するようなことがあってはならないわけです。ファンはね、怪我をしても自業自得な部分もあるけれど、何の関係もないお年寄りが階段から落ちたりしたら大変ですからね。東京駅や空港にも、なんとか裏口から入れてもらえないかと何度も交渉はしているんですよ。でも聞き入れてもらえないことがほとんどでした。

ポリス初来日 伝説の京都大学西部講堂の乱!?

──デヴィッド・ボウイの83年武道館公演は、当時高校生だった私も観ていますが、すごい人気でしたよね。

重冨 絶頂期でしたね。髪の毛はリーゼント風にして、まっ黄色のスーツ着て、かっこいいじゃないですか!! アテンドするのは大変でした。写真週刊誌に狙われて、「デヴィッドの部屋に行った」と言う女性が現われ、部屋の見取り図まで掲載されたこともありました。僕たちは「でもこれ、位置が逆だよな」とか言いながら見てましたけど。あの時の大阪万博公園でのライヴはスタンディングだったから、寒い時期にもかかわらず、ファンが前日から並んだんです。それでライヴが始まるや、後ろの方の観客が前に押し寄せた。前にいる観客は夜通し並んで体力も落ちているから乗り越えられちゃって……もう悪夢ですよ。デヴィッド本人がファンに冷静になれと呼びかけて、なんとか続行できましたけど。

©iStock.com

観客が押し寄せてぐしゃぐしゃに

 ラットが仙台のスポーツセンターで公演した時は、暗転して本人たちが登場して照明がつくじゃないですか。そうするともう前がぐちゃぐちゃ。僕が飛び込んで、一番前まで行って1曲目で「やめろー」ってバンドに合図出してやめさせて、主催者に出てきて話をちゃんとしてもらいました。そうしたらね、地方のファンは素直なのか、自分たちでぐちゃぐちゃになっているパイプ椅子を持って元の場所におとなしく座ったんですよ。

 ポリスが最初に来た時、僕らのツアーが終わった後、レコード会社がブッキングして、京都大学の西部講堂でライヴをやったんです(編集註:学生自治会により運営された)。ウドーからは僕ともう一人が残って立ち会ったんですけど、観客は押し寄せてぐしゃぐしゃ。途中でトレンチコート来たヤツがステージに上がってきてマイクで何か言ってるわけですよ。注意してるのかなと思ったら、とんでもない! 「こんな場所で利益をあげるコンサートをするようなヤツはどうのこうの」って言い出して。散々でしたよ。僕らは押された観客を前からひっぱりあげて助けて、「アンコールはなしだ」って、待たせておいたタクシーに荷物全部詰んでホテルに逃げました。

洋楽ロック史を彩るライヴ伝説 ウドー音楽事務所の軌跡を辿る

赤尾美香 ,ウドー音楽事務所

シンコーミュージック

2021年7月29日 発売

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