東京都が都立高校の高校生に1人1台のPC(タブレット等含む)導入を立案したが、それが、保護者の負担により高額PCの購入を迫るものであることが明らかになった。
前段としては、国費により全国の小中学校生に1人1台のPCを支給し、合わせて全学校にネットワーク環境を整備する文科省の「GIGAスクール構想」がある。
この構想は19年12月に閣議決定されて補正予算で2318億円を計上し、5年計画で着手された。翌20年にコロナ禍が発生して休校・分散登校、オンライン授業などが始まると計画は前倒しされ、20年度1次補正予算でさらに2292億円を計上して支給が早められた。今年7月時点で、全国の公立小学校の96%、公立中学校の97%が、全学年または一部の学年でPCの利用が開始されている(文科省)。
文科省はPC支給に当たり、1台5万円程度を想定して1台4万5000円を上限とした国費の投入を決め、標準仕様書を提示し、マイクロソフト(Windows)、アップル(iPad OS)、グーグル(Chrome OS)の3種類のPCを示した。各自治体はこれを基にして仕様書を作成し、調達業者を選定して支給している。
全国の小中学校でこうしてPC支給が早まった中で、次の課題として浮上したのが高校生へのPC支給だった。
ITベンダー(供給事業者)はこう話す。
「小中学校と異なり、高校は義務教育ではない上に私立高も多いため、国費の投入は難しいと見られました。そのため、各自治体がそれぞれ独自に財源を用意して、国は自治体への交付金で一部を支援する話が進んでいます。しかし自治体から“財源が足りない”という声が増えてきて、文科省は、国費の投入を目指して今年度の補正予算で予算を要求するとも言われています」
高校生へのPC支給にも国費投入が検討されている中で出てきたのが、都立高校生へのPC導入だった。
購入は保護者負担で1台8万円
東京都は、教育のICT化(情報通信技術化)を進める「TOKYOスマート・スクール・プロジェクト」を独自に進めて来た。この中で、都立高校の高校生に1人1台のPCを導入する具体的方法が決まり、8月30日にベンダー向けの仕様書が公表された。