仕様書では、来年4月に都立高校に入学する生徒に1人1台のPCを導入するとして、3種類のPCが示された。9月末までの入札で選ばれたベンダーは、仕様を満たすPCを準備して、販売サイトを開設して保護者に販売する。
この仕様書の中でPCは「保護者が私費で購入する」と明示され、しかも東京都が示した3種類のPCは、上限が「8万円」「9万円」「11万円」と、文科省が小中学校生に支給する際に想定した1台5万円の倍の価格となったのだ。
“買えない”という親も出てくるのではないか
「東京都はコロナ対策で多額の都費を投じており、財源が不足しているため保護者負担になるという話は出ていましたが、1台8万円の価格には驚きました。大量に購入するのだし、相応の性能が付いたPCでも数万円で買える時代です。これでは“買えない”という親が出てくるのではないでしょうか」(前出・ベンダー)
実際、コンサルティング企業のMM総研が中学3年生~高校2年生の保護者1万1000人を対象に行った今年3月のアンケート調査では、保護者の82%が高校での1人1台のPCを利用した授業に賛成したものの、保護者負担による導入には高いハードルがあることが分かっている。
保護者負担によりPCを購入する場合、許容できる1年間の負担額は0円(負担できない)が29%、1万円未満が35%で、0円~1万円未満で64%を占めたのである。
一方で、年間3万円以上を負担できるとした回答はわずか6・4%だった。
回答は1年間の負担額であるため、3年間分として考えても、東京都が提示した8万~11万円のPCを購入できる保護者はわずか6・4%ということになる。
アンケートで聞かれれば「払いたくない」と答える保護者は多い可能性があるにせよ、東京都が示した価格とは大きく乖離している。