保護者の所得格差が子供の教育格差に直結
また、都立高校の生徒は約4万3000人いるが(今年5月時点、定時制等を含む)、経済的な困難を抱える家庭出身の生徒も少なくないだろう。
日本の子供の貧困率はOECD諸国の中で最悪の13・5%。7人に1人が貧困にあり、ひとり親世帯に限れば48%に達している(18年)。
とりわけ、義務教育である小中学校生に対する支援に比べ、高校生への支援は不足しているとの指摘もあり、保護者の所得格差が子供の教育格差に直結する問題が深刻化している。
文科省は2020年度から、経済的な理由で大学・短大・高等専門学校へ進学できない生徒に対する支援策「高等教育の修学支援新制度」を開始し、初年度は27万1000人に支援を行った(子供の貧困対策に関する有識者会議より)。
前出のベンダーはこうも話す。
「文科省のGIGAスクール構想の標準仕様書では、マイクロソフト、アップル、グーグルを提示しましたが、東京都の仕様書ではグーグルが外れました。グーグルのクロームブックは比較的安く、小中学生へのPC導入では4割のシェアを獲得したと言われています。東京都がそのグーグルを外した理由が分かりません」
東京都教育庁にPC価格が高額になった理由等を聞くと、こう回答した。
「高校生にふさわしい性能を検討した結果、マルチタスクを利用できるなど(小中学生向けに比べて)性能を上げたためにこの価格になりましたが、あくまでも上限価格です。またグーグルを外したつもりはなく、仕様を満たせば(ベンダーが)グーグルを提案することも可能です。
金額が高いというご指摘については、低所得者世帯などへの支援策を検討しているところです」