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《16歳で妊娠》「軽い気持ちで検査したらまさかの陽性で…」「ママに殺される」厳格な両親に妊娠を伝えた日

ギャルママ聖菜インタビュー#1

note

重い空気の中、母が「おめでとう」と

——それからご両親にはどのように伝えたのでしょうか?

聖菜 両親になんて伝えようかすごく悩みました。前から高校卒業したら大学に行って、何かしらの資格を活かせる職業についてほしいと言われていたので、そんな両親の気持ちを裏切ってしまう不安が大きかったです。お母さんはわりと厳しかったので。

 妊娠がわかった次の日にまずは私のお兄ちゃんに相談したんですけど、お兄ちゃんもそれは早く言うべきだと。聖菜じゃなくて彼がお母さんに話した方がいいと言われて、彼が覚悟を決めて私のお母さんに話に行きました。私も一緒に行って、すべて話しました。お母さんは言葉を失っていましたね。悲しそうにしているお母さんの顔は見れなくて、ずっと下を見ていました。

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 しばらく沈黙が続いた重い空気の中、母が「おめでとう」と一言言ってくれました。否定するわけでもなく、いきなり「おめでとう」と言われたので、びっくりしました。

——その時のお母さんのお気持ちはどのようなものだったのでしょうか?

聖菜 後から聞いたんですけど、彼から「話があります。聖菜が妊娠しました。もし反対するのならどっか逃げてでも産みます」と言われて、最初はドッキリだと思ったんですけど、話聞いてくうちにこれは本気だと思い始めたみたいで。2人の気持ちを聞いて、もう何を言っても意思は固いなと感じたらしく、お腹の赤ちゃんにも聞こえている中でネガティブな言葉は言わないようにしようと思ったようです。

©今井知佑/文藝春秋

「同じ女性として堕ろせとは言えない」

 あとは世間の目が怖かったって言ってましたね。やっぱり高校生の娘が妊娠したらどう捉えられるかわからないし、祝福されないかもしれないし。だから周りに話すときはネガティブに話すのではなく、「今度聖菜がママになるんだ」って言っていたみたいです。これから大変な道にはなるけど気持ちはポジティブにしていた方が赤ちゃんに対しても絶対いいと思ったみたいで。その気持ちが嬉しかったですね。

 殺されなくて、逆に聖菜に寄り添ってくれたお母さんにはとても感謝しています。その後も「大人みんなで力を合わせて育てよう」と言ってくれて、その言葉がとても嬉しかったのを覚えています。

——お父様にはそのあと話されたんでしょうか?

聖菜 そうですね。お父さんは絶対に反対すると思っていたので、なかなか話せなかったです。でも話さないわけにはいかないので、覚悟を決めて、彼とお父さんの職場に行って、妊娠したことを話しました。かなり長い沈黙が続きました。「それでどうしたいんだ」って言われて、彼も私も「産みたいです」と。「ママは相当悲しむで」って言われましたね。その日は賛成も反対もされず、終わりました。

 そのあとお父さんはお母さんに「俺は反対だ。聖菜にはたくさん可能性があるのに全部台無しだよ」と話してたみたいです。お父さんは私の幸せをずっと願ってくれていて、若いうちにやりたいことをどんどんやったほうがいいと言っていたので、複雑な気持ちだったんだと思います。私のやりたいことができなくなるんじゃないかって。小さい頃からパパっ子だったし、お父さんにはなんでも話していたので、知らないところで聖菜が大人になっていることを受け止められなかったみたいです。

 でもママが「それはパパの気持ちでしょ」って。「いろんなことをやらせてあげたいのは親として同じ気持ちだけど、同じ女性として堕ろせとは言えない。それに子供ができたからこそ広がる可能性もある」と言ってくれたみたいです。