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「必死だな」と指さして笑いたいところですが

 日本の場合は、そういうバブル後の不良債権問題が出た後は、その処理に対して長い長い時間を必要としました。つい先日、身売り話の出た新生銀行にいたっては、いまだ注入された公的資金を全額は返済できてませんからね。でも、中国の場合は日本のバブル経済とはけた違いの、それこそ経済規模から見れば数倍から十数倍の不良債権問題を抱えているのではないかとささやかれ、シャドウバンキング問題(理財商品なる面白金融商品を通じて高利の金融事業を行うかたわら、焦げ付いた不良債権がそこに固まって存在していること)も含めて、いつ弾けるかとみんなオドオドしておるのです。

 そこに、その理財商品の焦げ付きで利払いができませんという恒大集団が出てきたとき、じゃあほかの企業はどうなのか、あの銀行は大丈夫か、人民元支払いで本当に安全なのかと言われると、それはもう誰にも分らないという話になります。これが日本の規模以上の大バブル崩壊に繋がるものなのか、いや金額だけならリーマンショックで吹き飛び破綻した高リスクのCLO市場と比べれば半分ぐらいの規模だから大丈夫だとなるのか、予想がつきません。

 いままで負けなしの成長を続けてきた中国経済も、見えざる神の手でもある景気循環や経済効率の罠にハマって巨額不良債権処理という難題を目の前に立ち往生をしているようにも見え、「必死だな」と指さして笑いたいところですが、コロナ経済下でいまなお我が国の最大貿易相手国は輸出も輸入も依然として中国であり、アメリカと中国とが対立を深める中で日本がいつまでもアメリカにぶら下がっていて本当に大丈夫なのかというのは議論の分かれるところです。

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中国の不動産大手がとんでもない金額を吹っ飛ばしそうです!

 

まあ、何というか。民主主義、万歳

 また、9月24日に予定されているQUADというアメリカ、インド、オーストラリアと日本による首脳会談で我らが菅義偉さんが訪米することが決まっています。それこそ戦前の大東亜共栄圏以来の日本が提案した世界的外交方針で、それも2006年の第1次安倍晋三内閣のころから15年以上の月日を使って構築してきたものなのですが、これらの主眼は明らかに対中国ですし、その点からも我が国は安全保障と経済協力の狭間でぶらんぶらんとせざるを得ないことは運命づけられています。

 こんなクソ大事な状況でいま私たちの目の前で起きてることは、河野太郎さんがいいのか岸田文雄さんがいいのかという自民党総裁選レースであって、ぶっちゃけ「ちょうどいい奴はいねえのか」と文句を垂れつつ、馬券を握り締め命運を託している状態であります。

 いや、まあ、何というか。民主主義、万歳。

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