「亀山」に向かうと…
そんな亀山駅だが、ベッドタウンとは言ったものの近づくにつれて車窓は山っぽくなっていくばかりであった。四日市駅を出たあたりから関西本線の線路の周りは田んぼやら民家やらがポツポツ、とうてい都市とは無縁ののどかな沿線風景が続く。そうしてますます山が近づいてきたと思ったところで亀山駅である。
1番のりばに着いた快速電車から降りると、階段もエスカレーターもなくそのまま改札口という超バリアフリー設計になっていた。ホーム自体は他に2面あって、そちらでは関西本線の名の通り関西方面へと続く列車や紀勢本線、つまり紀伊半島の南部を目指す列車が主に発着するホームだ。その中でも、名古屋方面とを結ぶ関西本線の電車は、改札口のすぐ目の前にやってくるという親切設計、特別扱いを受けているのである。
“東海”と“西日本”の境界「亀山」
関西本線が特別扱いなのは、名古屋と結んでいるからというだけではなかろう。なにしろ、亀山駅にやってくる“電車”は名古屋からの関西本線だけなのだ。同じ関西本線でもさらに山を越えて関西方面に行こうとすれば気動車になるし、紀勢本線も非電化の気動車だ。そんな中、颯爽とやってくる快速電車。亀山駅ではなかなかに輝いている。
ちなみに、お客にはあまり関係のないことだが、亀山駅はJR東海とJR西日本の境界駅でもある。気動車のほうの関西本線はJR西日本の管轄。電車の関西本線と紀勢本線はJR東海。駅そのものはJR東海が管理している。だからなんだと言われたらその通りなのだが、とにかく亀山駅は名古屋方面からの列車がすべて終点を迎え、2路線との乗り換えができる東海地方の端っこの駅であり、交通の要衝というわけだ。
最盛期には1000人近い職員が
ここで早めに歴史を紐解くと、亀山駅が開業したのは1890年のことだ。私鉄の関西鉄道によって現在の関西本線が開通したのと同時の開業だった。1891年には同じく関西鉄道が津方面への支線も開通させており、これがいまの紀勢本線のルーツだ。