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若手議員が反旗、事務所内のゴタゴタも陣営混乱に拍車

 ところが、潮目が変わったのは、河野太郎行革担当相が出馬を正式表明してからだ。

「当初は、安倍氏が号令を掛けて細田派の多くが高市氏の支持に回るとみられたのですが、衆院選で生き残りがかかる若手議員が反旗を翻した。派閥横断の若手グループがそれぞれの派閥内での『自主投票』を主張。党内でもこの動きに同調する者が多くなり、15日までに党内7派閥のうち6派閥で自主投票になることが決まった」(同前)

自民党本部 ©時事通信社

 若手グループは、福田康夫元首相の長男で衆院議員の福田達夫氏が代表世話人を務める「党風一新の会」で、福田氏自身が安倍氏のお膝元である「細田派」の所属だ。派閥の規律が事実上瓦解したことで頼りの「安倍氏の威光」も減退。

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 さらに、事務所内のゴタゴタも陣営の混乱に拍車を掛けている。

 前出のスタッフとは別の選対関係者がこう声を潜める。

「選挙戦が本格化してくるに従って問題が次々と出てきました。そもそも選対チーム自体が急造で、人手が圧倒的に足りなかった。指揮系統も統一されていないために大量の文書処理もままならず、マスコミ対応も満足にできない状況に陥っているのです。17日の告示直前には、高市氏本人が新型コロナウイルス対策のために接種したモデルナワクチンの副反応に見舞われる“事件”もありました。その後の日程にかなりの影響が出て、秘書が振り回される事態に陥りました」

 選挙戦は、29日の投開票まで続くが、陣営内には「果たして投開票日までこの体制で乗り切れるのか」という不安も広がっているという。全国民が注視する次期宰相を決める熾烈な権力レース。高市氏は無事に“ゴール”できるか。