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テレビっ子新王座 棋士・中村太地インタビュー#1「国仲涼子さんがずっと好きです」

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渡辺竜王が企画した、棋士だけのフットサル

――小学生の頃もテレビで将棋は見ていたんですか?

中村 NHK杯の時は見てました。今はインターネット放送で頻繁に中継がされていますけど、当時は珍しかったのでNHK杯とかは毎週楽しみで見てましたね。

―― 当時羽生さんのブームで、小学校の友達はやっていたんですか?

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中村 確かに男の子で何人かいましたけど、道場で習っている自分とは、どうしても勝負にならないんです。だから、休み時間にちょっと遊びでやって、「強いね」って言われている感じでしたかね。

―― 小学生から将棋一筋だったんですか? 

中村 いえ、わりと活発だったですね。学級委員みたいなのにも自ら手を挙げてやるような。今じゃ想像できないと思いますけど(笑)。学芸会も低学年の時は主役もやったなあ……。

 

―― 何をやったんですか? 

中村 狼の役です。狼が主人公の劇だったんですよ。運動も好きで、サッカー少年でした。リレーでも選手に選ばれたり。でも、思春期になる小6ぐらいから、学芸会でも「音響をやりたいです」みたいな感じで積極的に手を挙げて裏方の方に行くスタイルになりました(笑)。

―― ははは。今もサッカーはお好きなんですか? 

中村 棋士仲間とフットサルを月イチぐらいでやってます。運動不足になりがちなので、体力作りも兼ねて。

―― フットサルはどんな方とやられているんですか? 

中村 渡辺(明)竜王、佐藤天彦名人、深浦(康市)九段……。藤井さんの連勝を29で止めた佐々木勇気さん、若手だと斎藤(明日斗)くんっていう19歳の子もいます。そもそも渡辺竜王が企画したんですよ、みんなでフットサルやろうって。

―― 錚々たるメンバーですが、みんなうまいんですか?

中村 ヘタだと思います(笑)。棋士の仲間内だけで、楽しくやってます。一番大事なことは、手を怪我しないように遊ぶことなので。一度だけ、関東と関西の棋士によるフットサル対決がニコニコ生放送で企画されたことがありましたけど。

サッカー中継を観ていると、盤面に見えてくる

――棋士のみなさんの動き方は、それぞれ戦略に満ちていそうですね。

中村 確かにちょっとトリッキーな桂馬タイプとか(笑)。桂馬は終盤戦で効いてきますからね。実際の対局でも、僕は一番桂馬が好きですね。使うのが難しい駒なんですけど、使いようによっては相当威力を発揮するので。

 

―― 中村さんはテレビでサッカー中継もご覧になるんですか?

中村 はい。日本代表の試合を見ながら、選手がどんな戦略で動いているのかを考えるのも好きです。

―― やはり、試合展開が盤面みたいに見える感じなんですか?

中村 サッカーと将棋は共通点が多い気がしますね。監督やコーチから見ると選手は駒みたいに見えるでしょうし、相手との兼ね合いがあってポジショニングが変化していくとか、展開の仕方が似てる部分はあると思います。サッカー選手でも、将棋が好きっていう人も多いんですよ。元日本代表の波戸(康広)さんは、将棋の親善大使になってくださっています。しかも結構お強い。