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「内部通報の犯人を捜す」「辞めさせるまで追い込むぞ、俺は」 日本郵政“パワハラ潰し”卑劣な手口

2021/09/29
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通報者らが「村八分」に遭った

 こうした通報者捜しが本社の知るところとなり、西村は2019年3月に戒告処分を受けた。会社と局長会の役職も降りてヒラ局長となったが、本人は1年程度で復帰する心づもりで、後任の統括局長らによる内部通報者への圧迫はその後も続く。

 通報に関わった局長のうち2人は、西村への“中傷”などを理由に、地区局長会を除名された。除名されたことを根拠に、会社の役職も外れるよう迫られ、実際に役職を降りた者もいた。局長会幹部から叱責を浴び、うつ病となって休職に追い込まれた人も。局長会に残ったメンバーも、除名した局長と縁を切るか、局長会を脱会するかを迫られた。

記者会見する日本郵政の増田寛也社長 ©共同通信社

 2006年施行の公益通報者保護法は、通報者への報復などの不利益な扱いを禁じている。消費者庁策定のガイドラインでは、不利益な扱いがあった場合は当事者の処分はもちろん、不利益の救済・回復を図ることが必要だとしている。来年施行予定の法改正では、通報者の特定につながる情報の守秘義務を担当者に課し、違反すれば罰金が科されることになる。

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 だが、福岡県で不正をただそうとした通報者らが文字どおりの「村八分」に遭い、不利益を被っている事態を訴えたのに対し、日本郵便のコンプライアンス・人事部門は西村への軽い処分以外に、具体的な手立てを打った形跡がない。局長会の活動は業務外だと突き放し、問題は確認できないと片付けた。そうした仕打ちも受けて局長ら7人が2019年10月、西村と後任の幹部ら計3人に損害賠償を求めて提訴。捜査当局が動き出す事態にまで発展した。

 朝日新聞経済部記者、藤田知也氏による「日本郵政『パワハラ潰し』卑劣な手口」は「文藝春秋」2021年10月号と「文藝春秋 電子版」に掲載されています。

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