小説、アニメで人気を博す『とらドラ!』シリーズの竹宮ゆゆこさんと、FoZZtoneで活動後、ソロとして活躍中のシンガーソングライター・渡會将士さん。竹宮さんの新作『応えろ生きてる星』が、渡會さんの楽曲とシンクロするかのように不思議な縁が重なり、対談が実現した。初顔合わせとは思えないほど2人の共通点は多く、その創作の原動力、制作秘話などを語り尽くした。
◆◆◆
名曲との絶妙なリンクから生まれた対談のきっかけ
竹宮 今回は、『応えろ生きてる星』に推薦文をご寄稿くださりありがとうございました。
渡會 こちらこそ、ありがとうございました。本になる前の原稿を読ませていただき、貴重な経験でした。
竹宮 まだタイトルも決まっていない段階でお願いさせていただいたんですよね。いつも、タイトルが未定の原稿は作業中のフォルダに仮のタイトルをコードネームみたいに入れてるんですけど、それが「LOVE」だったんです。
渡會 おおお。
竹宮 今回のタイトルをどうするかという打ち合わせで、仮のタイトルは「LOVE」なんですよ、と言ったら編集さんが急に挙動がおかしくなって。
渡會 ハハハハハ。
竹宮 急にあわあわしだしたんです。そしたら、「この小説にあうなと思って聞いていた曲があるんです。そのタイトルが『LOVE』」と。それが、渡會さんのバンドのFoZZtoneの「LOVE」(シングル『LOVE』収録)だったんです。
渡會 「あわあわ」の時点でダダ漏れですけどね(笑)。
竹宮 それで興味が湧いて、YouTubeで「LOVE」を観て今度は私がおかしくなるっていう。
渡會 親切という名の押し付けが行われたわけですね(笑)。
竹宮 それがきっかけだったんです。後日、編集さんから今回の推薦文を渡會さんにいただきましたというメールが来て、思わず、パソコンの前で立ち上がってしまいました。
渡會 最初は恐れ多くて、いったんお断りしたんですよね。そのあと、再度ご依頼くださって、お引き受けさせていただいて。竹宮さんは、どうやって作品を作られているんでしょうか。ゴールは決まっているんですか?
竹宮 けっこう最後までイメージしてから書きます。最後が見えてないと、不安で書き始められないタイプなんです。それは純粋に作業上の問題で、〆切とかが設定されて、行き詰まってやっぱり書ききれない、となると、とてもやばいので。
渡會 なるほど。先に見通しを立てておくんですね。
竹宮 終わることは分かっている(笑)。
渡會 決まっているゴールに対してジリジリ寄っていく作業ってどうなんですか。辛くないですか?
竹宮 せっかちなんですよね。そのせっかちさで、早く、そこまでたどり着きたいという焦りがあって、それが原動力になっている。
渡會 ああー、なるほど。じゃあ、ラストまで書ききったときの解放感は半端なさそうですね。
竹宮 案外、空っぽです。なにも考える余地がないくらい空っぽになる。「あー何もなくなっちゃった」というところから、また貯まっていって、次の作品が書ける。