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殴られてもLINEで「死ね」と送られても「いじめが確認されていない」

 このほか、父親が、ツバサさんに対する「いじめ」として他にあげた例は、

(1)(別の生徒)Bからボールをぶつけられたり、足を引っかけられたり、「ツバサが部活をやめなければ俺がやめる」と校内で言いふらされた。

(2)Aから腕をつねられる、トイレに行ったことで殴られる。

(3)教師が体育時間に体重を発表させたことで「お前、太っているから足が遅い」と言われ、お腹をつままれる。

(4)運動会のリレーでミスしたことで、同級生から殴られる。

(5)後頭部にできたハゲを複数の同級生から、揶揄される。

(6)同級生に押し倒され、ワイシャツを破かれる。

(7)筆箱を壊される。

(8)同級生からLINEで「死ね」と送られる。

 というもの。

 これらについて、学校は調査したものの、「いじめ」は確認されていないと主張している。

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反撃したら保護者が来校し、胸ぐらをつかんで「殺すぞ」

 また、2011年5月4日にもトラブルが起きる。この日は練習試合があったが、1年生のみ外のコートで練習をすることになった。学校側が区教委に提出した報告書などによると、部活動の練習中にAとBを含む3人の部員との間にトラブルが発生した。Bらが、ツバサさんにボールを取らせないようにパス回しをした。するとボールの取り合いになり、Bは「バスケやる必要ないし、やめれば」と言った。このときの「いじめ」にツバサさんは反撃をして、暴力をふるった。

 このトラブルについては、Bは父親と来校した。そこでツバサさんが「うまく言えないんだ」と言ったことに憤慨したBの父親は、ツバサさんの胸ぐらをつかみ、「殺すぞ」などと脅した。その場にいたN教諭は恐怖のために制止することができなかった。ツバサさんは過呼吸状態になった。

N教諭のノートの一部

 文科省の危機管理マニュアルでは、負傷者が出た場合は、応急手当てをするか、救急隊に依頼することになっている。しかし、学校側の顧問2人は警察も救急隊も呼ばず、ツバサさんが見えない場所にいた。学校側の調査では「声をかけない方がツバサさんの気持ちが落ち着くと考え、落ち着いたら話しを聞かせてねと声をかけ(た)」としている。

 これについて区教委は「警察へ報告しなかったのは、加害者である相手が保護者であり、学校で解決できるものと考えていたため」と回答している。約1年後、Bの父親は在宅起訴され、傷害罪で罰金20万円の刑を受けた。