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同級生から「死ね」「太っている」…中1自殺未遂も、葛飾区は「“いじめ”ではなく“けんか”」

同級生から「死ね」「太っている」…中1自殺未遂も、葛飾区は「“いじめ”ではなく“けんか”」

葛飾区いじめ虚偽報告訴訟、10月1日に判決

2021/09/30
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ツバサさんの飛び降り自殺未遂、そして転校

 2011年6月19日、区長に対して、<ある一年生の生徒に対して悪質ないじめが行われているようです…(中略)…生徒さんの命の危険が考えられます>という匿名のメールが届いた。翌20日、区から区教委指導室に緊急対応が依頼された。6月25日、心的外傷後ストレス障害と診断された。

 そんななか、7月7日、ツバサさんは自殺未遂をした。学校からの帰宅後、パニック状態となり、ベランダから飛び降り自殺をしようとしたが、母親が制止した。同級生に「太っている」などと言われ、過去にも同じことを言われたことがフラッシュバックした。7月12日は、過呼吸で意識がなくなり、一時、呼吸が止まったものの、救急車が駆けつけ、意識を回復するということがあった。その後、不登校となり、他の学校に転校をした。父親としては、転校の理由は「いじめ」だった、と主張する。

©️渋井哲也

判決まで約10年…いじめを認めない区教委との闘い

「区教委の指導室長らがその時々で『いじめ』を認めています。また、区教委の統括が、『いじめを認識していた』と回答していました。校長も、息子の不登校の理由は『いじめ』としていました。しかし、区教委は都教委や警察には『いじめはなかった』と報告をしています。都教委も、十分な事実確認をせず、『いじめはない』としました。都教委は説明責任を果たしていません」

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 一方、区教委としては「学校生活(いじめ、不登校等)に起因して、在学校に通学することが困難となっている状況の場合」をあげている。つまり、いじめだけでなく、不登校等による通学困難も含まれているとして、転校した事実をもって、区側がいじめを認めたというわけではない、として争っている。

 判決は10月1日。いじめが起きて、判決まで約10年。それまで父親は、学校や区教委、都教委と交渉してきた。「息子は中学で不登校だったが、高校は全日制に進学し、大学も合格。就職することもできました。子どもがいじめられて、不登校のまま卒業するのはなくして欲しいです。区教委が書類を破棄してしまうと、公益通報制度の意味がありません。不正がなければ、親は悩まないです。裁判所にはぜひ、事実認定をしていただきたい」と話している。

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