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 アカリさんの家は家族構成だけで言えば平均的だ。サラリーマンの父、専業主婦の母、妹。アカリさんは父親と価値観が合わず、喧嘩をすることが多いという。2年前に適応障害を診断され、それ以降なにかあるたびに「病気のせいにしている」と父から責められた。

 学校の部活で陰口を言われることからいじめが始まり、学校に行くのが嫌になった。部活をやめ、不登校気味に。去年から父親が在宅勤務で家にいることが多くなり、喧嘩も増えた。そこから精神的に追い詰められたアカリさんはほとんど学校に行けなくなり、現在は全く通っていないという。アカリさんにとって、家は安心してくつろげる場所ではなくなっていた。

 そんなドン詰まりだったアカリさんが救いを求めたのが、トー横だった。SNSのアカウントで「トー横にいってみたい」と呟いたら、普段トー横にいる青年から「待ってるね!」とリプライが来た。

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 青年はトー横界隈でも有名な存在で、別の中学生の少女をホテルに連れ込んだとして、今年の5月に逮捕されていた。アカリさんはネット上で彼が逮捕されていたことを知っていたにもかかわらず彼と会うことを決めた。

 歌舞伎町が初めてだと伝えると青年は「歌舞伎町を案内してあげる」とアカリさんに持ち掛け、駅まで迎えにきてもらうことになった。

©今井知佑/文藝春秋

新宿駅で待ち合わせ、ビジネスホテルで酒を勧められ…

 6月某日、アカリさんと青年は新宿駅で対面する。年齢を聞かれ答えると、「俺ロリコンなんだよね」と笑顔で返してきた。青年の奢りで寿司屋で食事をしたのち、青年はアカリさんに対し「お金を取りに行くから少し待っていてほしい。自分が借りている部屋で待っているか、歌舞伎町を1人で回って時間を潰しておいてほしい」と話したという。

 慣れない歌舞伎町を独りで歩くのが怖く、熱中症になる危険もあるような気温だったため、アカリさんは言われた通り、青年が泊まっているビジネスホテルで1時間ほど青年を待つことになった。

©今井知佑/文藝春秋

 1時間後、お金を受け取ったという青年は酒を買ってホテルに戻ってきた。「飲もう」と何度か促され、2口ほど口にした。そのままベッドに誘われた。その時、アカリさんは初めて青年の目的を察知した。無理やり攻められる中、何度も抵抗し、性行為自体は未遂に終わった。

 アカリさんは「こういうこと無しで普通に会いたい」と青年に話し、翌日はトー横で複数人と遊んだという。

 青年はアカリさん以外にも、ネットで出会った未成年と行為に及ぶことがある噂の絶えない人物であった。中には青年に金銭を直接渡している少女もおり、アカリさんによると、食事を終えた際の「お金を取りに行く」は銀行などではなく、そうした少女の1人に会っていたのではないかということだった。