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AVの帝王・前科7犯・借金50億・求刑370年、こんな肩書きの男を演じることは、山田孝之本人にとってもマイナスイメージになるのではないか。
それにもっとも人気がある俳優だから、3年先までスケジュールが埋まっているとされた。実現は難しかった。
だが奇跡がおきた。
本人が原作を読み「演りたい」と手を上げたのだ。
Netflix版「全裸監督」シーズン1、2は世界190ヵ国で配信され、大ヒットとなった。
映像化する際の私からの条件は一点のみ、「原作と同じ時代設定で」ということだった。
黎明期のAVだからこそ猥雑で上昇志向の激しい世界は描けるのだ。
個性豊かな“全裸ワールド”が誕生
ミツトシ役は、満島真之介が熱演して大いなる人気を得た。
残念ながらミツトシ本人はみずから命を絶ってしまった。生きていたら、好青年が自分を演じたことに相好を崩しただろう。
そして遂に漫画版がスタートした。
小説・ドラマとは異なる第三の表現。
漫画版の際も、原作者からの条件は一点のみ、「原作と同じ時代設定で」ということだ。
須本壮一版が加わり、これで原作版・Netflix版・漫画版、3つの『全裸監督』がそろい踏みになり、原作者としても無上の喜びである。
それぞれ独自の物語が編まれ、個性豊かな全裸ワールドが誕生した。
表現方法は異なる3つの世界だが、通底するものがある。
それは、生への希望である。