2021年、中日ドラゴンズの球団公式YouTubeチャンネルに改革が起きている。11年から始まった同チャンネルが、めざましい進化を遂げているのだ。
「#Dragons_Inside」、「#一緒にどらほー」のタイトルがついた動画を、ほぼ毎日更新。特に「#一緒に〜」は、試合後のヒーロー選手が熱々の状態で登場し、チームが勝ったときにファンがつぶやく「どらほー!」を、その日の主役が(少し照れながら)発してくれる。テレビのスポーツニュースでハイライトを見ながら、アップされるのを心待ちにしている人も多いだろう。
新型コロナウイルスの影響で、選手とファンがふれ合うことはほぼなくなった。それはメディアも同じ。ベンチ前の雑談や、ぶら下がり取材は記者にとって大きな財産だった。偉業を達成したときに記事に載せる貴重なエピソードを聞けることだってあるし、パパ友として教育論をぶつけ合ったりもする。競馬の予想も、意外と……話が弾む。しかし、現状はベンチ前やグラウンドに降りることはできない。ファンへ選手の素顔や小ネタを届けたくても、限界がある。
今春キャンプから広報部の石黒哲男さん、稲垣尊夫さん、小林正人さん、赤坂和幸さんが積極的にSNSを活用。ドラゴンズの選手とファンが少しずつ距離を縮めてきた。
そして、YouTube動画で選手の“素”を追いかけ、長所を引き出してくれる頼もしい球団スタッフがいる。ここで満を持してご紹介したい。
岡田俊哉から「アニキ」と呼ばれる大型“新人”
竜党をワクワクさせる動画を作り続けているのが、中日ドラゴンズ営業本部イベント推進部の岡田昌尚さんだ。
大島洋平、堂上剛裕、筆者と同じ「1985−86年世代」の35歳。愛知県名古屋市出身。実家がバンテリンドームから自転車で15分だったこともあり、自然とドラゴンズファンとなった。家にはいまだに、当時背番号1だった福留孝介のフラッグもある。今年、初めて福留にあいさつしたときは独特の緊張感があったが、最近は「いつも(カメラ持って)グラウンドにいるじゃん」と、認知してくれたのがうれしかった。
大学まで地元で過ごし、卒業後はキー局の関連会社に入社。主にスポーツ番組を担当し、プロ野球の記者としてロッテ、西武、楽天、侍ジャパンを取材。番組統括を行ったり、ドキュメンタリーを撮影したりして、取材対象を追いかけ続けた。知り合いのすすめもあり、今年の4月に中日ドラゴンズへ転職。動画部門の強化を目指す球団と、見事にマッチした期待の大型“オールドルーキー”だ。
見た目は、「すみっコぐらし」に出てくる「しろくま」のような岡田さん。同学年で同性の私が言うのも何だが、とても愛らしいフォルムなのだ。いつも片手にハンディーカメラを携え、小さい鞄を肩から斜めに掛けて、グラウンドや観客席、時には記者席にも訪れる。すでに動画にもなっているが、バンテリンドームのバックスクリーン裏側に同行させてもらい、想像を絶する高さから地上を見下ろして、一緒に恐怖体験をさせてもらったこともあった。
すでにチーム内にも岡田さんの存在は定着しつつある。選手会長の京田陽太からは「何か困ったら言ってください。協力しますから!」と心強い言葉をもらったという。苗字が同じ岡田俊哉からは、いきなり「アニキ」と呼ばれた。弟の母校・智弁和歌山高が甲子園で優勝したときは、アニキが弟にお祝いコメント動画の撮影を打診すると「撮りましょう!」と快諾してくれた。
普段はなかなか顔を出すことがない二軍のナゴヤ球場でも、小笠原孝2軍投手コーチが投手陣に向け、「球団から発信していくことはこれからの時代、必要なこと。できることはどんどん協力していきましょう」と、企画を後押ししてくれた。