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2017/11/15

genre : エンタメ, 読書

阿部伊坂伊坂阿部 への三つの質問

 合作を経て、相手のことを知り尽くした感のある二人。そこで、「改めてお互いに聞きたい三つの質問」を、投げかけ合ってもらった。

伊坂 ではまず僕から一つめの質問です。『キャプテンサンダーボルト』をつくっていて、「これはもう完成させるのは無理だ」と思ったときはありますか?

阿部 書いているときは一切なかったですね。ただ、最初に打ち合わせをしたときに、すごくたくさんアイデアが出たから、この膨大なアイデアをまとめることなんて実際にできるのかなとは思いました。

伊坂 書きたい場面がたくさん上がりましたものね。すごいのは、そのときに出たアイデアがほぼ盛り込まれていることですよ。

阿部 ではこちらからも、一つめの質問を。登場するキャラクターで、こいつはもう少し書いてみたいなという人はいますか。

伊坂 そう考えると、作品の中でけっこう書き切ったという気がしますね。好きなタイプの登場人物は多いんですけど。「レッド」とか。あと、相葉と桃沢瞳の関係、あの感じも僕の好きなパターンです。

 

伊坂 二つめは、奥様(小説家の川上未映子さん)とは、小説の感想を言い合ったりするものなんですか?

阿部 仕事の話はよくしますね。自分にはそれがたいへん役立っています。小説を書くための脳って、トレーニングをしないと機能が低下するものだと思います。同業者が家にいて日頃から小説の話をしていると、脳がいつも動くというか、ほどよい緊張感があっていいですよ。

 

阿部 こちらの二つめを。伊坂さんの小説はよく映画化されますよね。僕の作品はまだ一つも映画化されたことがないのでわからないのですが、原作者としては映画化作品とどんな距離で接するんですか?

伊坂 なんというか、野球部のなかった高校に野球部を作った人のような気持ちなんですよね。今の現役チームが甲子園に出場することになって、すごいすごいと言われている。後輩たちも、先輩が野球部を作ってくれたおかげで僕らは甲子園に行けましたと言ってくれる。でも、僕自身は今のチームで試合に出たわけじゃないから、甲子園は僕の功績なんかじゃない。僕がいたから皆が甲子園に行けたのは事実と言えば事実なんですけど、「俺、試合出てないんだけど」というような感じでしょうか。

 

伊坂 三つめです。プリンスにデヴィッド・ボウイと、阿部さんの好きなアーティストが続けて亡くなっているじゃないですか。どういうお気持ちだったんですか。

阿部 デヴィッド・ボウイが亡くなったときは、俺こんなに泣くことあるのかというほど泣きました。自分でも驚いていたら、プリンスのときはさらに泣きました。感情をひたすら揺さぶられました。それほど自分の人生に深い影響を及ぼしていた人たちだったということなんですね。

 

阿部 では最後の質問。『キャプテンサンダーボルト』で特に気に入っている場面はどこでしょうか。

伊坂 自分で中心になって書いたところでいえば、校庭で相葉が走っていく場面は好きです。DVDがあるなら何度もリプレイしたいくらい(笑)。阿部さんが中心に書いたところだと、ホテルで人が入り乱れるシーン。ああいう群像劇、誰が主人公か分からなくて、大勢が騒ぎを起こしている場面って、僕にはちょっと書けないんですよね。

構成:山内宏泰

©鈴木七絵/文藝春秋

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