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「痛い、苦しい、息ができない」真っ赤な便器、冷や汗、呼吸困難…“ヂアミトール投与殺人”の凄絶さとは《大口病院点滴殺人》

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「便器の中は血でいっぱいだった」

 久保木被告と入れ替わりで勤務についた夜勤の看護師は、同日夜に点滴を打った興津さんが「血管の痛みを訴えた」と供述調書で語っている。点滴を刺している箇所の痛みを訴えるケースはあるが、興津さんは別の部分の痛みを訴えた。異常はなかったため、点滴の投与を続けたが、その後もナースコールがあり痛みを訴え続け「不思議に思った」という。

 翌16日午前9時半から10時頃、日勤だった別の看護師が興津さんに点滴を投与する。このときも、興津さんからナースコールがあり「点滴をやっている方(の腕)が痛い」などと繰り返し痛みを訴えられたという。

©️文藝春秋

 この看護師は点滴が終わった11時前頃、興津さんが「トイレに行きたい」というので付き添ったという。「終わったらナースコールを鳴らして」と言ったにも関わらず、なかなかナールコールがならず、心配して見に行った。

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 すると中から唸り声のようなものが聞こえてきた。興津さんに声をかけ、鍵をなんとか開けてもらうと「体が前のめりになり壁に手をついた状態で冷や汗が出ていた」という。当初は「触るな」などと言っていた興津さんだったが、「気持ち悪い」「頭が痛い」などと訴え、元気がなくなっていった。

 さらに「便器の中は血でいっぱいだった」。血尿が出ていたのだ。

「痛い」「苦しい」「息ができない」と訴え呼吸停止

 興津さんはベッドに運ばれ、主治医も駆けつけた。主治医の供述調書によると、興津さんに取り付けられた尿道バルーンには、大量の「ピンク色の鮮血」がたまっていたという。「尿道や膣の出血ならば赤黒くなるため、腎臓などからの出血なのではないか」と考えたという。モニターに映し出された酸素飽和度は低下し、声もどんどん小さくなっていく。「このままでは助からない」と主治医は泌尿器科の専門医のいる系列病院へ救急搬送を指示。救急車で付き添った主治医の呼びかけに、興津さんは「痛い」「苦しい」「息ができない」と顔を歪めて話していたという。 泌尿器科の処置室につくと、「手足の先が真っ青になり、意識がなくなった」(主治医の供述調書)。救急室に移されたが呼吸が停止。心臓マッサージなど懸命の措置を続けた。