大女優が提唱「膣に入れる卵型の翡翠」
海外では俳優のグウィネス・パルトロウが、更年期(Menopause)向けサービスに特化した「メノテック」なる分野に進出したというニュースがありました。グウィネスといえば、「膣に入れるとホルモンバランスが整い、生理サイクルが正常化する」と謳って卵型の翡翠を販売し、科学的根拠がないことからカリフォルニア州の検事局に告発された過去があります。そんな彼女が今度はフェムテックで何を売るのか、悪い予感でいっぱいです。
今年6月に第3子の女児を水中出産したことを発表したハワイ在住のモデル・吉川ひなのも、目ざとくフェムケアアイテムを販売開始。自身がプロデュースするナチュラルケアプロダクトブランド「ヒナレア(hinalea)」に、会陰・腟専用のマッサージオイルがラインナップされています。
吉川ひなのは苦労の多い生い立ちを経て、ナチュラル&オーガニックを愛する自然派ママにたどり着いたことを、著書『わたしが幸せになるまで』(幻冬舎)で語っています。ところがその内容は過激自然派にありがちな言説のテンプレだらけで、女性たちの不安を煽るのでは? と不安になってしまう主張が盛り沢山。電磁波は危険、ヘアカラーの化学物質や水道水の塩素が皮膚から体内に吸収される、使い捨てのナプキンは体を冷やす、常在菌が大事だから赤ちゃんを洗わないetc.
現代社会の便利なものに頼っていると大変なことになるよという“脅し”に近いものを感じます(そしてオーガニック製品へ誘導)。影響力がある人の発信は、「私がやっているというだけの話」では済まされません。
「トンデモ」健康法は取り扱い注意
フェムテック周辺に「科学的根拠の怪しい代替医療や民間療法的なものがあってはならん!」と主張するつもりはありません。最新技術がアイデンティティやライフスタイルに合わないという人もいるので、多様性のためにも選択肢は多いほうがいい。
ただし「女性の健康を応援します」というパフォーマンスをもって科学・医学的な説明で根拠があるように語り、その実は体験談が頼りの民間療法的なものでしたというのは、だまし討ちではないでしょうか。フェムテックの盛り上がりにより、「女性が生きやすい時代が来るのかと期待させておき、いざ蓋を開けたら中には前時代的な呪いがびっしり詰まっていた……!」って、どんなホラーなんだか。
しかしこれは、今に始まった問題ではありません。女性向けの情報は、常に根拠のない言説が行き交っているのですから。