文春オンライン

飲んだら“触ってしまう”男、ゴム長靴ばかり271足盗んだ男…再犯が止まらない被告人たちの「ヤバい裁判」

同じ犯罪を何度も繰り返してしまった人の「ヤバい裁判」#1

2021/10/08

genre : ニュース, 社会

note

“浮気バレ後の不倫関係”みたいな問答へ…

 続いて検察官からの質問。

検察官「今は長靴好きじゃないと。きっかけは何ですか?」

被告人「捕まってからそう思うようになりました」

ADVERTISEMENT

検察官「それって……ホントは興味あるんだけど、好きになってはいけない!って思ってるだけじゃない?」

被告人「ん……はい……」

 浮気がバレた後もまだ気持ちが残っている不倫関係について訊いてるかのよう。被告人としても長靴への未練が残ってるような感じです。

©iStock.com

 そんな受け答えの後に裁判官から。

裁判官「人の趣味を良い悪いとは言えないし、長靴を集めるのは自由なんですよ。盗む事自体が悪いのであってね。長靴に興味無くすって可能なんですかね?」

 検察官と同じように「まだアイツのこと好きなんだろ?」とホンネに迫っていきます。

裁判官「人間なかなか趣味を変えるのは難しいですよ」

被告人「もうやりません」

裁判官「う~ん……これってどうしても人の物に手を出さざるを得ないんですかねぇ。人の物に手を出さないで趣味を満たす方法ないんですか?」

被告人「いや~……」

 と口籠ったところで被告人質問終了。新品なら靴屋で購入すればいいんだけど、使い古しの長靴となると古着屋でもなかなか見掛けないですからねぇ。結局答えは見つからなかったけど、趣味を継続したままで再犯防止策を考えてくれる裁判官は素敵ですね。この想いに応えてくれればいいんですけど。

◆◆◆

 1999年から現在まで、20年以上にわたり約2万件の刑事裁判を傍聴してきた裁判ウォッチャーの阿曽山大噴火氏。その多数の公判の中から、後編では何度逮捕されても25年間無免許運転を続けた男の裁判を取り上げる。法廷でくり広げられた予想外の再犯理由とは……。

飲んだら“触ってしまう”男、ゴム長靴ばかり271足盗んだ男…再犯が止まらない被告人たちの「ヤバい裁判」

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー