裁判傍聴を1999年から続け、これまで約2万件の刑事裁判を傍聴してきた裁判ウォッチャー阿曽山大噴火氏。傍聴を続けていると、その犯行自体がクセになってしまっているのか、バレずに上手くいった成功体験があるからなのか、同じ様な犯行を繰り返し、同じ罪名で逮捕され前科を重ねる被告人がいることに気づくという。

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何度逮捕されても25年間無免許運転だった男 

 公判 2018年3月6日

 罪名 道路交通法違反

 被告人 住宅設備業の男性(69)

 起訴されたのは、2018年1月に東京都内の路上で被告人が無免許で車を運転したという内容。

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 検察官の冒頭陳述によると、被告人は1993年6月に普通自動車免許が取消しに。しかしエアコンなどの荷物を現場に運ぶ必要がある仕事で、免許を取らずに車の運転を続けていたらしい。

 前科は4犯で、1999年に人身事故を起こして業務上過失致傷で有罪判決を、2008年と2009年と2011年には無免許運転で執行猶予付きの有罪判決を受けているとのこと。要するに、何度も逮捕され判決も受けているのに25年間無免許運転を続けている被告人なのです。

©iStock.com

 そして被告人質問。まずは弁護人から。

弁護人「無免許運転で身柄の拘束を受けるって珍しいんですよ。それくらい重大な事をしたってのは分かってます?」

被告人「分かってます」

弁護人「何度も裁判受けてますけど、2ヶ月間も身柄拘束されたの初めてでしょ?」

被告人「そうですね」

 今までは毎回短期間で保釈されてたので、軽く考えていたようですね。

弁護人「今後、仕事はどうするの?」

被告人「続けます。なので、免許を取って、取るまでは他の従業員に現場への材料を運んでもらいます」

 他の人に運転を任せて、今度こそ免許取得すると誓って弁護人からの質問は終了です。

「スズキの無免許運転で捕まったからって、マツダなら乗っていい訳じゃないですよ!」

 ところが、検察官からの質問では……。