裁判の傍聴を続けていると、前科を重ねている被告人が同じ様な犯行を繰り返している人物である事が多いなぁと気付きます。例えば前科5犯で、それらが詐欺と器物損壊と強制わいせつと現住建造物等放火と不正アクセス行為の禁止等に関する法律違反……とバラエティーに富んでいる人は少ないのです。その犯行自体がクセになってしまっているのか、バレずに上手くいった成功体験があるからなのか、同じ罪名で逮捕されているケースが非常に多いのが現実。

 という訳で、やめる事が出来ず何度も何度も同じ犯罪を繰り返してしまった被告人の実例を4つ紹介します。

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新幹線専門のスリ 盗んだバッグの中には…

 公判 2008年6月12日

 罪名 窃盗

 被告人 無職の男性(61)

 起訴されたのは、2008年4月に被告人がJR東京駅に停車中の新幹線車両内で被害者のビジネスバッグを盗んだ件。

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 検察官の冒頭陳述によると、被告人は1967年に服役したのが最初で刑務所の入出所を繰り返して前科は12犯。知人が盗みで一気に儲けていると知り働いているのがバカらしく思えて盗みをやるようになったそうです。

 被告人がやっていたのは俗に言うブランコスリ。壁や椅子に掛けた上着から財布などを盗む手口です。被告人は新幹線専門らしくて、入場券で新幹線のグリーン車に入ると壁に掛けてあるスーツから財布を盗ったり、棚からバッグを盗むことを繰り返していたとのこと。

被告人が新幹線で盗んだバッグには聖書が… ©iStock.com

 そして被告人質問。

弁護人「去年の12月に出所して、今年の2月にまた同じ手口で盗みを再開してしまったと。本件以外に何回やりましたか?」

被告人「2件です」 

弁護人「2月にバッグを盗んだという話でしたね。中に何が入ってました?」

被告人「宗教関係の本と聖書が入ってました」

弁護人「それ見てどう思いました?」