文春オンライン
電子版TOP
「おにぎりは具が少なすぎてほぼご飯」「工事現場で食べているような…」ソウル“丸亀製麺跡地”にできた「そっくり製麺」に行ってみた。

「おにぎりは具が少なすぎてほぼご飯」「工事現場で食べているような…」ソウル“丸亀製麺跡地”にできた「そっくり製麺」に行ってみた。

シン・ソンヒ 2021/10/16

 秋ののどかなある月曜日、久々に明洞を訪れた。明洞は韓国・ソウルの中心地に位置する繁華街。ランドマークである「ロッテデパート」の向かい側にメインストリートに入る入口があり、その右側に路地がある。この路地を30メートルぐらい進むと、中国大使館があり、そのむかい合わせに「あきない(商内)製麺」という和風のうどん屋があった。

 ここは、少し前までは丸亀製麺・明洞店があった場所。今回やってきたのは、その跡地に丸亀製麺とそっくりのうどん屋ができたという噂を聞いたからである。

店へ行く路地

「丸亀製麺」→「自家製麺・丸」→「あきない製麺」速すぎる展開

 2012年12月にソウル・弘大店を第1号店として韓国に上陸した丸亀製麺は、安い価格で本場のうどんの味が楽しめる「名物食堂」として韓国の若者から愛されてきた。2014年6月にオープンした明洞店も昼休みになると、いつも近くのサラリーマンやOLで店先に長い列ができるほど人気があったと、筆者は覚えている。

ADVERTISEMENT

 だが、コロナや不買運動の余波で丸亀製麺が韓国から撤退してからは、丸亀製麺そっくりの「あきない製麺」に生まれ変わってしまった。目の前に出てきた「そっくり製麺」には昔の丸亀製麺のようなにぎやかな雰囲気は全く感じられなかった。

 実は、今年の8月に丸亀製麺が撤退すると、韓国人の同業者が、「自家製麺・丸」と店名だけを変えて 店はそのまま営業を続けていた。だが、この事実が日本のメディアで報じられたことで非難が起こると、急いで名前を「あきない製麺」に変更。そういえば、路地の入り口からよく見えるように、店の屋根の上に勢いよくさしかかっていた赤い旗も消え、どこか寂しい感じの目立たない店に変わっていた。

丸亀製麺の跡地に立つ「あきない製麺」。なぜか「季節限定」というそばメニューも…

お昼ど真ん中に行ってみると…

 筆者が来店したのは正午を少し過ぎた時刻。昼商売の真っ最中のはずなのに、店の前の行列は消え、店内のあちこちの空席が目に入った。4人用テーブルが20個ほどおいてある店内には、空いたテーブルが6~7個もあった。