値段ごとに分けられた皿に盛られた寿司が、レーンの上に乗って店内をぐるりと巡る回転寿司店。その始まりは、1958年にオープンした元禄産業の「廻る元禄寿司1号店」に設置された“コンベア旋回式食事台”だという。全国に回転寿司が普及して以来、寿司がより身近な存在となっているが、回転寿司を楽しむ人が多い分だけ不遜な客も少なくない。
◆◆◆
イチャイチャしながら食べた皿をレーンに戻すカップル
三嶋菜々さん(仮名・26歳)が働いている回転寿司店は、首都圏に数店舗展開している小規模チェーン店。食材にこだわり、二貫130円の皿から一貫で700円以上するネタもあるなど、比較的価格帯が高い回転寿司店だ。
さまざまな客と接したなかでも彼女が本当にやめてほしいと語ったのが「レーンの悪用」だ。
「40代前後の女性と20代前半男性のカップル客でした。店内の一番奥にあるボックス席に座ってイチャイチャしながら食べていたので、かなり目立っていました。ちょっと迷惑だな、と思ってふたりの様子を見ていると、寿司を食べた皿や、飲み終えたビールジョッキをレーンに戻しはじめたんです」
彼らが座っていた席はキッチンに近く、レーンに皿を流すと店内を経由せずにそのままキッチンの中に入っていく位置にあった。驚いた三嶋さんはすぐさまキッチンに入り、客が流した皿とジョッキをキャッチして、ふたりのテーブルに戻したという。
「お皿を戻しながら『食べたお皿はレーンに流さないでください』とお伝えしましたが、完全無視。その後も、食事が終わるまでずーっと皿をキッチンに戻しつづけるので、私が皿をキャッチする係になってしまいました。土曜の夜で一番忙しい時間帯にそれをやられて、本当に早く帰ってほしかったです……」
回転寿司のレーンは皿を下げるためにあるのではない、と三嶋さんは肩を落とした。