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皿を返して「おい、これはだめだ」

 三嶋さんが勤務する店には常連客も多く、毎回お土産の寿司を頼む客や、必ず茶碗蒸しを頼む客など、常連は顔を覚えて早めに対応する必要があるという。

「常連さんのなかには横柄な態度を取る人もいます。回転寿司と言いつつもレーンにお寿司はあまり回っていなくて、中にいる職人さんにオーダーする人が多いです。その日は『鱧』が入荷してオススメのネタになっていたのでその男性も『鱧』の皿を注文していました。すると、一貫食べた途端『おい、これはだめだ』と言って、皿ごと職人さんに返却したんです」

 何がダメなのかわからず、あっけにとられた職人はそのまま皿を受け取ってしまったという。

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「もし、鮮度の面で変な味がしたなら問題ですが、男性はその後も何も言わず黙々とお寿司を食べて帰っていきました。鱧の皿は会計には含まれていないです。多分、味が気に入らなくて皿を返しただけだと思いますが、それを許したらみんなやりますよね。職人さんも予想外の行動に、ついお皿を返すのを忘れたみたいです」

お代を投げつけ「この中トロはおいしくない!」

 たとえ丁寧な接客を心がけていても、難癖をつけるクレーマーは現れる。その客は一通り食事をしてレジで会計をする際に、突然激昂したという。

「いきなり『ここの中トロはおいしくない!』と言いながら、レジに立っていた私にお金を投げてきたんです。そのあとも『本当はお金も払いたくない!』と声を荒げていたので、店長がすぐに出てきました。中トロの味について謝るのか……? と思っていたら『うちの中トロはこれなんです』と言って、ひと言も謝らずにクレーム客を帰していたので驚きました」

 たしかに、ネタの味はあくまで主観なので店側も謝りようがない。聞けば、三嶋さんの店舗では、客のクレームに対して強気に対応をするケースが多いという。