世界の音楽市場を席巻し続ける韓国の7人組K-popグループ、BTS。10月5日には、英ロックバンド・コールドプレイとのコラボ曲 “My Universe” が米ビルボードのメインシングルチャート「HOT 100」で初登場1位に輝いた。

 また同じく「デジタルソングチャート」では、5月下旬リリースのシングル曲 “Butter” から “My Universe” までの3曲が6月から現在まで1位を独走中。今年最大のヒットとなった “Butter” は、「HOT 100」で初登場1位及び2021年最多1位、同年の米ビルボード「ソング・オブ・ザ・サマー」に選ばれるなど数々の快挙を達成している。

BTSのメンバー 左からヴィ、シュガ、ジン、ジョングク、アールエム、ジミン、ジェイホープ ©Getty Images

 ところがそんなBTSを巡り、このところ韓国の国会が騒々しい。保守系大手紙と保守野党が「ムン・ジェイン大統領がBTSを政治利用している」と猛批判し、これに反論する与党側と激しい舌戦を繰り広げているのだ。

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 きっかけは、9月20日から米ニューヨークの国連本部で開かれた第76回国連総会ハイレベルウィーク。BTSは初日に特別イベント「SDGモーメント2021」の開会セッションに登場し、世界の若者を代表するスピーチを行った。

国連本部でのパフォーマンスは約3000万再生

「SDGモーメント2021」とは、「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向けた行動を加速するために昨年から始まった会合。BTSは韓国語による7分のスピーチでコロナ禍や気候変動に翻弄される若者にポジティブなメッセージを送り、喝采を浴びた。世界で約100万人がその生中継を視聴したという。

 またこれに合わせてシングル曲 “Permission to Dance” を国連本部で歌うMVも国連の公式YouTubeアカウントで公開され、10月11日時点で3000万に迫る再生回数を稼いでいる。

ニューヨークの国連本部でパフォーマンスを披露したBTS YouTube国連チャンネルより

 このBTSの訪米で行動をともにしていたのが、ムン大統領だ。

 ムン氏は今年7月、BTSを「未来世代と文化のための大統領特別使節」に任命。訪米を控えた9月14日にはBTSが大統領官邸を訪問し、任命状の授与式が行われた。授与式ではムン氏夫妻がBTSを褒め称え、リーダーのアールエムが使節任命を「光栄」と語る様子が報じられている。