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「その美容院は内装がゴシック風で統一されていて、床に大きな姿見を直置きするようなオシャレな造りだったんですけど、そこの店長が座っているイスだけがオフィスのチェアみたいなキャスターの付いた場違いなモノなんです。店長は何かを取りに行く時も、立って歩いたほうが速そうなのに、かたくなに椅子に座り続けて店内をゴロゴロと移動してました」(28歳/女性)

どう見ても失敗したのに「大丈夫」と

 美容師という職業柄なのか、こだわりが強い人が多いようだ。それ自体は別に悪くないのだが、問題はこだわりが強いわりに技術レベルが低い美容師が、客のオーダーに応えてくれなかった時だ。佐川美奈さん(仮名・19歳)は、カラー施術で後悔することになったという。

「明るい色に染めたくて、事前にスマホに保存した画像を美容師さんに見せて『この色にしてください』とお願いしたんです。担当してくれた人は40代くらいの落ち着いた雰囲気の方で、『近い色にはできるので大丈夫。任せて』と施術に入りました。

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 でも、仕上がりが近づくにつれ、どうみてもイメージしていた色じゃないんです。『ちょっと違いません?』と尋ねたら『印象は違うけどトーンは一緒だから』とか、よくわからないことを言われて……。

©iStock.com

 案の定、出来あがったら全然違う色で、画像をみせて『ほら違いますよね?』と詰め寄ったら『大丈夫。何回か洗って落ち着いたらこの色になるから』と失敗を認めようとしないんです。当然ですが、数日たっても色は変わらず、泣き寝入りでした」

自分の好みに仕立てようとするがゆえに…

 他にもオーダーとあまりに違った結果となった例は少なくない。

「最初に『こうしてください』と頼んだのに、美容師さんの好みのスタイル、得意な施術に切り替えようとする』(32歳/男性)

「ロングのままで毛先を揃えてとお願いしたのに『ショートのほうが似合いますよ』などとゴリ押ししてきて30センチくらい切られた」(33歳/女性)

 さまざまな事例を聞いていると、スタイリングに関して、お客さんは美容師に対して希望したイメージ通りに仕上げてくれる「職人」を期待しているが、実際には「アーティスト」気質な美容師が少なくなく、自分の好みに仕立てようとするがゆえにズレが生じてしまう、ということのようだ。

 相性のいい美容師と出会うことは難しいといわれるが、これらのエピソードはどれも相性以前の問題。適切な接客とサービスを心がけてほしいものだ。