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「キャラクターの偏差値が低い」と言われたことも
――向井先生は原作と少しキャラが違いますね。こういう先生がいいな、という気持ちもあるのでしょうか?
田川 冷静で淡々と喋る先生も沢山いますが、自分が実習をしたときに「いいなあ」と思った先生は皆さんユーモアがあって、生徒と友達のように話していたんですよね。そういう人に魅力を感じるのかもしれません。
第4話で向井先生が優子ちゃんを元気付けるシーンがありますが、優子ちゃんが走って帰る時に向井先生がこっそりガッツポーズをしています。自分の描きたかったことなんですよね(笑)。生徒のことを一番に考えて、カッコつけられない、そんな先生がいたっていいよな、と思います。
――高校生の優子のことは、どのような視点で描いていたのでしょうか?
田川 森宮さん目線の優子と、優子の自意識、両方を意識しながら描きました。
ただ自分は女子高生ではないので(笑)、「わかんないなー」と思いつつ、自分の過去の経験や感情を手掛かりにしています。10代の多感な頃に、どこで感情が爆発していたっけな、と思い出しながら。森宮さんと衝突するところで、優子が自分でも思っていないことを言っちゃうところとかはまさに高校生らしいですよね。
『バトン』も『ひとりぼっちで恋をしてみた』も、自分の描くキャラクターは正しい判断をできないことが多いです。ある時、マンガを読んでくれた方に「キャラの偏差値が低い」と言われたこともありました(笑)。的を射た指摘なのですが、僕はそういう子の方がリアルで、好きですね。
インタビュー後編に続く。