総裁選に出馬した際、野田氏の夫問題があらためて注目された。
『野田聖子氏、週刊誌の「夫は元暴力団員」報道に「信じている」「歯を食いしばって頑張りたい」』(読売新聞オンライン9月21日)
野田氏の夫は「元暴力団員」とこれまで週刊誌が書いてきた。これについては裁判になっている。
《今年3月、東京地裁は、元暴力団員だった点について、真実相当性があるとする判決を下している。》(文春オンライン9月8日)
裁判所は元暴力団員だった点について「真実相当性がある」としたのだ。※野田氏はそのあとブログで反論。
私はこの問題、別の角度で興味を持っていたのです。
野田氏の夫がもしそういう過去を持ちつつ、現在はキッパリと「この世界」で頑張っていこうとしたら?
それでも過去について一生後ろ指をさされるのは仕方ないのか? 自問自答した。たしかに「総理の夫」の経歴としてはギョッとするが、一生言われ続けなければいけないのだろうか。
過去を説明して「再チャレンジ」を
というのは今年公開された映画『すばらしき世界』(西川美和監督)と『ヤクザと家族 The Family』(藤井道人監督)を思い出したからです。
どちらも元暴力団員が刑務所から出所して「この世界」で生きていこうとすることに比重を置いていた。しかし当人たちの決意とは別に「この世界」は冷たい。反社会的勢力と決別してやり直そうとしても再チャレンジはダメなのか……?
これを自分の問題として訴えることができた政治家は野田聖子氏だったと思う。現在の夫は間違いないと受け入れているのだったら、過去を説明しつつ、そうした訴えをしてもよかったのではないか。かなりハレーションは大きいと思いますが、それで報われる人もいたはずです。少なくとも甘利氏や高木氏がしれっと説明しないまま再チャレンジするより世の中に問題提起できたと思うのです。