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 では、「中年起業」の強みとは何なのか。まずは「人脈」があることです。今まであなたの人生で積み上げてきた人とのネットワークが、武器になるのです。大きな予算や事業を動かせるような同級生や社外のビジネスパートナーが、あなたの起業を助けてくれるかもしれません。

 それから、中年ならではの「経験」も強みです。ITについての知識なら、確かに若い人の方が得意でしょう。ただし実際のビジネスは、IT知識やロジック(理屈)だけでは動きません。実務を通じて学ぶ実践知、心理戦に勝つ交渉術、人をやる気にさせるマネジメントなど、あなたの経験が役にたつ領域がたくさんあります。

 また、年を取ってるがゆえの「欲望コントロール力」も見過ごせません。人にもよりますが、若い時はどうしても欲に溺れやすい。3Gすなわちギャンブル、ゴルフ、外車、それから、お酒、異性、怪しい投資案件などの誘惑に負けて、事業に失敗してしまう若い起業家は少なくありません。けれども40歳ぐらいになると、そんな欲も落ち着いてきます。公私において一つや二つの挫折は味わって、文字通り大人になっているはずです。幸か不幸か、そもそも若者起業家のようにちやほやされることもありません。

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起業コストは平均25万、失敗しても借金リスクは少ない

「起業にまつわる誤解」の2つ目は、「お金持ちでなければならない」という思い込みです。

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 すでに財産があったり、実家がお金持ちでなければ起業できないのではないか、と感じている方も多いはずです。けれども、昨今のITサービスの進歩で、起業の平均コストが劇的に下がっています。会社設立に関連する登記などのコストは、たった25万円程度です。マネーフォーワードやfreeeといった便利なITサービスを使えば、手軽に出来ます。同じくメールはGメール、コミュニケーションはスラック、バックオフィス業務はスマートHR、電話番はfondeskなどのITサービスでコスト削減が可能です。採用、決済、名刺管理などでも同じようなITサービスがあります。

「起業にまつわる誤解」の3つ目は、「失敗すると借金地獄になる」というものです。サラ金の取り立てに追われて、家族が離散する。まるで「黒革の手帖」に出てくるようなシーンを思い浮かべるかも知れません。しかし、それはあくまで昔ながらのドラマの世界です。