Q 選挙でよく聞く「比例復活」…落ちた人が「復活」していいの?

 4年ぶりの衆議院選挙が迫っています。ただ、学生時代に学校で習ったときには気にならなかったのですが、いざ自分が投票するようになると、小選挙区で落ちた候補者が比例で「復活」当選していることに疑問を感じるようになりました。どうしてこういう仕組みになっているのでしょうか?(20代・男性・会社員)

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A 「惜しい負け方」をするかも重要です。が…

 比例代表では、政党はあらかじめ「当選する順番」を決めておき、選挙管理委員会に届けておきます。たとえばA党が当選者3人となれば、A党の上位3人が当選します。

 でも、これだと、比例の上位にランクされると、「当選が決まったも同然」と考えて選挙運動を熱心にやらない人が出てくる可能性があります。それを避けるための仕組みが「重複立候補」です。

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 重複立候補とは、小選挙区と比例代表の両方に立候補できる仕組みです。候補者が熱心に選挙運動をする仕組みにするには、どうしたらいいのか。重複立候補している人たちの当選順位を、全員同じにしてしまうのです。たとえばA党から立候補している人は全員を当選順位1位にしておきます。

 重複立候補している人が、小選挙区で当選を決めれば、比例代表の名簿からはずれます。一方、小選挙区で落選しても、比例代表で復活当選の可能性を残しました。復活当選の決め手は「惜敗率」(惜しい負け方の割合)です。

 たとえば、同じ順位になっている別々の選挙区のB候補、C候補のふたりのうちのどちらかが当選する場合で考えてみます。B候補は9万票を獲得したものの、対立候補が10万票を取ったために落選した場合、B候補は、当選した候補の票数の90%を獲得しました。この場合の惜敗率は90%です。

投票箱をひっくり返し作業にあたる、いま見ると「密」な開票作業現場(2017年衆議院選挙) ©AFLO

 一方、C候補は20万票を獲得しましたが、対立候補が25万票を取って当選すると、C候補の惜敗率は80%です。

 B候補は惜敗率でC候補を上回り、B候補が復活当選です。惜敗率という基準を導入したので、各候補は、小選挙区で負けそうになっても、比例代表での復活を目指して最後まで手を抜かずに頑張るでしょう。これが、候補者に手抜きをさせない仕組みです。

 でも、小選挙区で落選した候補は、いわば有権者から失格を言い渡された人ですね。その人が復活するのでは、小選挙区の有権者の民意が無視されてしまうという指摘もあります。要は政党の都合なのです。

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