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ブリトニー・スピアーズを12年間も奴隷にした成年後見人制度《60億円稼いだといわれるスーパースターが「私はまるで売春婦です」》

『アメリカ人の4人に1人はトランプが大統領だと信じている』より#2

2021/11/07

source : 週刊文春出版部

genre : エンタメ, 音楽, 読書, ライフスタイル

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 まだバージンだったブリトニーは、カトリック高校の制服のシャツを結んでおへそを出した衣装を着せられて、過剰にセクシーに売り出された。全米で少女たちがブリトニーのマネをしてへそを出して保守的な親たちを怒らせた。メリーランド州知事ロバート・アーリック(共和党)のケンデル夫人は「許されるならブリトニーを射殺したい」と言った。

電撃結婚するが、55時間後に離婚

 20歳になったブリトニーは『ミッキーマウス・クラブ』の仲間だったアイドル歌手、ジャスティン・ティンバーレイクと交際し、パーフェクト・カップルと呼ばれたが破局。タブロイド紙は、ブリトニーの歌のイメージから、彼女が浮気したと決めつけ、Slut(尻軽)のレッテルを貼った。

 そのへんからマスコミは毎日ブリトニーの私生活を報じるようになる。2004年1月、ブリトニーはラスヴェガスで高校の同級生ジェイソン・アレクサンダーと電撃結婚。55時間後に離婚。その半年後にバックダンサーのケヴィン・フェダーラインと婚約。結婚し、翌年、長男ショーンを産んだ。

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 ブリトニーの家族がどこに行っても何十人ものパパラッチが群がった。いい写真は最高1億円で売れたという。2006年2月、まだ赤ん坊の長男ショーンをひざに乗せたまま車を運転するブリトニーの写真が撮られた。法律で赤ん坊は後部座席に固定したチャイルド・シートに乗せなければいけない。世間は一斉にブリトニーを「バカ親」と糾弾した。

ブリトニーが失ったもの

 8月、ブリトニーは雑誌「ハーパーズバザー」の表紙を次男の妊娠8カ月のヌードで飾った。ところが次男が生まれて間もない11月にブリトニー夫妻は離婚、息子たちと暮らし続ける夫との親権争いが始まり、独身になったブリトニーを追いかけるパパラッチの自動車は数を増した。

 2007年2月、パパラッチの群れに疲れたブリトニーはヘアサロンに飛び込み、自らバリカンをつかんで丸坊主にした。憎しみで目をむいて、傘をつかんでパパラッチの車の助手席をどつく写真も撮られた。

「ブリトニーが失ったものは何でしょう?」

『クイズ100人に聞きました』の元番組『家族争議』ではそんな質問が出された。

「息子の親権」「社会的信用」「髪の毛」「正気」回答者が答えるたびに観客は爆笑した。